神経図鑑|身体の末梢神経一覧(頚神経叢・腕神経叢・腰神経叢・仙骨神経叢)
末梢神経は単なる解剖の知識ではなく、身体の感覚入力の分布を示す地図です。
痛みやしびれといった症状は神経の分布に沿って生じることが多く、どの神経領域で入力が変化しているのかを理解することが臨床では重要になります。
末梢神経とは、脳や脊髄と身体の各組織をつなぐ神経の総称であり、感覚情報の伝達と運動の制御を担っています。
皮膚、筋肉、関節、内臓などで生じた情報は末梢神経を通って中枢神経へ伝えられ、逆に中枢からの指令も末梢神経を介して各組織へ伝達されます。
多くの末梢神経は脊髄神経から分岐し、神経叢を形成した後に各部へ分布します。
代表的な神経叢は以下の4つです。
・頚神経叢
・腕神経叢
・腰神経叢
・仙骨神経叢
末梢神経の分類
末梢神経は機能によって次のように分類されます。
・皮神経(皮膚の感覚を伝える神経)
・運動神経(筋肉の収縮を制御する神経)
・混合神経(感覚と運動の両方を含む神経)
・自律神経(内臓や血管などを調整する神経)
皮神経と皮枝の違い
皮神経とは、皮膚の感覚を主に支配する末梢神経の総称です。
一方で皮枝とは、混合神経から分岐し、皮膚に分布する感覚の枝を指します。
例えば橈骨神経や正中神経は筋と皮膚の両方に関与する混合神経ですが、その途中で皮枝を出し、皮膚の感覚情報を中枢神経へ伝えます。
これに対して上殿皮神経や外側大腿皮神経のように、はじめから皮膚に分布する神経は皮神経として分類されます。
つまり、皮神経は「独立した感覚神経」、皮枝は「他の神経から分岐した感覚の枝」として整理されます。
神経叢とは何か
脊髄神経は身体の各部へそのまま伸びるわけではなく、多くの場合いくつかの神経が合流・再分配される「神経叢」を形成します。
代表的な神経叢は次の4つです。
・頚神経叢
・腕神経叢
・腰神経叢
・仙骨神経叢
これらの神経叢から、多くの末梢神経が枝分かれして身体の各部へ分布します。
末梢神経と症状
末梢神経は特定の皮膚領域や筋肉に分布しています。
そのため神経の分布に沿って、痛み、しびれ、感覚異常などの症状が生じることがあります。
臨床では筋肉や関節だけでなく、末梢神経の分布を理解することが、症状を整理するうえで重要になります。
各神経の詳しい分布については、個別の神経ページで解説しています。
脊髄神経後枝
脊髄神経は椎間孔を出た直後に前枝と後枝に分かれます。
前枝は神経叢を形成しますが、後枝は分節性を保ったまま体幹後面に分布します。
脊髄神経後枝は主に以下を支配します。
・脊柱周囲筋(起立筋郡、多裂筋など)
・背部の皮膚
・後頭部の皮膚
・殿部の皮膚
代表的な神経
後頭下神経
胸神経(T1–T12の前枝)
胸神経は体幹前面および外側面の感覚と運動に関与します。
肋間神経(T1–T11)
頚神経叢(C1–C4)
頚神経叢は頚部・後頭部周囲の感覚および一部の運動を支配します。
頚神経叢の皮神経
運動神経関連
頚神経ワナ
横隔神経
腕神経叢(C5–T1)
腕神経叢は上肢の感覚と運動を統合する神経叢です。
近位枝(叢から直接分岐)
肩甲背神経
長胸神経
鎖骨下筋神経
肩甲上神経
終末枝
筋皮神経
正中神経
尺骨神経
橈骨神経
腋窩神経
神経束
外側神経束
外側胸筋神経
内側神経束
内側胸筋神経
内側上腕皮神経
後神経束
上肩甲下神経
胸背神経
下肩甲下神経
腰神経叢(L1–L4)
腰神経叢は腹部下部および大腿前面の感覚・運動を支配します。
腸骨下腹神経
腸骨下腹神経の前皮枝
腸骨鼠径神経
陰部大腿神経
大腿神経
閉鎖神経
副閉鎖神経(存在する場合)
仙骨神経叢(L4–S4)
仙骨神経叢は殿部から下肢全体の感覚・運動に関与します。
上殿神経
下殿神経
坐骨神経
陰部神経
内閉鎖筋神経
大腿方形筋神経
梨状筋神経
坐骨神経から分岐する神経
坐骨神経は下肢の主要な分岐源となる神経です。
主な枝
脛骨神経
総腓骨神経
総腓骨神経の枝
深腓骨神経
浅腓骨神経
脛骨神経の枝
内側足底神経
外側足底神経
三叉神経(第5脳神経)|顔面の感覚を担う神経
三叉神経は顔面の感覚を担う脳神経であり、末梢での感覚入力を中枢神経へ伝える役割を持ちます。
この神経は3つの主要な枝に分かれ、それぞれ異なる領域の感覚を支配します。
眼神経(V1)
前頭神経
涙線神経
上顎神経(V2)
眼窩下神経
頬骨神経
下顎神経(V3)
耳介側頭神経
三叉神経は感覚神経としての役割が中心ですが、下顎神経は運動線維も含む混合神経である点が特徴です。
末梢神経は感覚入力の経路であり、その分布を理解することで症状の整理が可能になります。
神経の構造と分布を「地図」として捉えることが、臨床における評価と介入の精度を高めます。
|末梢神経の理解を深める基礎コラム
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