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カッピング療法は科学以前の迷信に基づくもの。




    カッピング療法は
    科学以前の迷信に
    基づくもの。

    カッピングとは、吸玉と呼ばれるカップを使い、火などを用いて真空状態にし、皮膚を吸着させる方法です。

    オリンピック選手などのアスリートも行っているようですが、そこにサイエンスやエビデンスはあるのでしょうか?



    まず、カッピングは太古の昔から存在する方法です。

    「古代エジプトのエーベルス・パピルス(紀元前1550年)は、カッピング療法について言及した最古の医学書の一つである。カッピング療法は、中医学、ユナニ医学、韓国伝統医学、チベット医学、東洋医学など、数多くの古代の治療システムに含まれている。」

    Cupping Therapy: An Overview from a Modern Medicine Perspective
    Tamer S. Aboushanab , Saud AlSanad

    ◆システマティックレビューの多くは中国で行われておりデータの信頼性に疑問があるという論文。

    そもそものエビデンスすら怪しいということです。

    「現在入手可能な複数のシステマティックレビューのエビデンスによると、カッピングの有効性は痛みに対する治療法としてのみ実証されており、この適応についても疑問が残っている。

    5つのシステマティックレビューはすべて、中国で行われた一次研究に依拠している。

    いくつかのグループでは、中国で行われたすべての鍼治療研究のほぼ100%が肯定的な結果を出していることを示している。この結果は、データの信頼性に大きな疑問を投げかけている。

    また表1は、一次研究の質がしばしば低いことも示している。質の悪い研究では、偽陽性の結果をもたらす傾向がある。

    これらの事実を総合すると、カッピングに関する複数のシステマティックレビューの結論は限られており、不確実性が残っているといえる。

    Is Cupping an Effective Treatment? An Overview of Systematic Reviews
    Myeong Soo Lee, Jong-In Kim, Edzard Ernst




    ◆カッピングの有害事象についての論文

    まずカッピングの明確な作用機序は特定されていません。つまり、皮膚の血流がなどいろいろ言われていますが、はっきりしていないということです。また有害事象の報告頻度は低いが稀ではないということを自覚する必要があります。

    要約すると、カッピング療法の明確な作用機序は特定されていない。カッピング療法の作用機序の分野での臨床研究が強く望まれる。

    カッピング療法の有害事象の報告頻度は低いが、まれではない。とんどの有害事象は軽度から中程度である。

    カッピング療法に関連する有害事象の多くは瘢痕形成であり、次に火傷である。他には頭痛、かゆみ、めまい、疲労感、筋緊張、貧血、吐き気、水疱形成、カッピング部位の小さな血腫や痛み、膿瘍形成、皮膚感染症、不眠症、色素沈着、血管迷走神経性失神などの症状が見られた。

    Cupping Therapy: An Overview from a Modern Medicine Perspective
    Tamer S. Aboushanab , Saud AlSanad




    ◆カッピングは擬似科学であり迷信に基づくものという文章。

    肯定的な結果は、非常に偏った研究グループに集まる傾向がある。

    Ernstは、カッピングに関する肯定的な研究やレビューのほとんどが中国で行われていることを指摘する。

    このような研究には、圧倒的なバイアスがかかっていることを疑うに十分な理由があり、過去のレビューでは、例えば、中国で発表された鍼治療研究の100%が肯定的な結果であったことが示されている。
    このように一様に肯定的な結果を出すことは、組織的なバイアスがなければ統計的に不可能である。

    これらのことから、カッピングに関する研究は、ほとんどが否定的であるか、質が低く、バイアスが高いということがわかる。カッピングによる実際の生理学的効果を示す説得力のあるエビデンスはない。

    確かに、副作用は小さいかもしれないが、証明された、あるいは妥当性のある利益がなければ、不快感、費用、美容上の悪影響を含む副作用から、それだけのことをする価値がない。

    カッピングは、鍼治療、瀉血、骨相学、その他の医療的な疑似科学と何ら変わりはない。

    この治療法は、科学以前の迷信に基づいており、現代の顧客へより効果的に治療法を販売するために、単にブランド名を変えただけである。

    それは妥当性に欠け、有効性を示す説得力のあるエビデンスもなく、いつものように手抜きの正当化とともに宣伝された、単なる別の代替治療である。

    Cupping – Olympic Pseudoscience
    Steven Novella on August 10, 2016
    https://sciencebasedmedicine.org/cupping-olympic-pseudoscience/




    ◆まとめ

    これらのことからカッピングは、

    ・痛みへ効果があるかもしれないが、そもそもの研究結果が中国によるものでバイアスがかかっており疑わしい。

    ・明確な作用機序がなく、生理学的反応を示す説得力のあるエビデンスもない。

    ・有害事象も稀ではなくあるので、利益と比較すると受ける価値がない。

    ・瀉血などと同じく科学的な迷信に基づいた方法。

    ということがわかります。

    鍼については過去コラム「鍼の効果はプラセボのみ。爪楊枝でも同じ」>>をご覧ください。

    カッピングはサイエンスベースの視点から見れば、やる価値は全くありません。

    痛みに苦しんでいる人の皮膚を傷つけることに、なんの意味があるのでしょうか?

    ペインサイエンスに基づくことは、セラピストのみならず、患者様の利益にもつながります。




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