Column

コアスタビリティ/安定化エクササイズと腰痛②




    コアスタビリティ
    安定化エクササイズと腰痛②

    前回に引き続き、コアスタビリティについて読み解いていきます。

    コアスタビリティとは、体幹安定化という意味があり、体幹を鍛える、コアを鍛えるという運動が流行しています。

    しかし、サイエンスから読み解くと、理論的には問題が多く含まれています。




    ◆内部フォーカスは運動熟練者のパフォーマンスを下げる

    ある運動の初心者には内部フォーカスが良く、

    熟練者には外部フォーカスがパフォーマンスを上げると言われています。

    つまり、その運動の初心者にはコアを意識させることは有効かもしれません。

    しかし、熟練者にコアなどの内部にフォーカスを向けさせることはパフォーマンスを下げると言われています。

    「ある運動の初心者には内部にフォーカスを向けさせることが、運動能力を向上させることになる。」

    「しかし、熟練者には、内部ではなく外部にフォーカスを向けさせた方が、パフォーマンスが良くなることが分かってきている。」

    「つまり、体幹筋にだけフォーカスを向ける事は、プロのアスリートなどにとって、パフォーマンスを下げさせる。」

    「この原則は、腹横筋または他の筋肉群への内部フォーカスが、熟練した運動能力を低下させることを強く示唆している。(体幹筋の緊張が姿勢制御を低下させることさえ示されている)」

    The Myth of Core Stability
    Professor Eyal Lederman

    なぜ、コアスタビリティ・エクササイズでも腰痛改善効果を感じるのか?




    ◆コアを鍛えたから腰痛が減ったのではない

    コアスタビリティのエクササイズで腰痛が改善されたと感じることがあります。これは他のエクササイズでもおなじこと。

    つまり、コアを鍛えたから腰痛が減ったのではなく、身体的な運動による腰痛軽減だと言われています。

    「一見したところ、再発性腰痛の治療のためのコア安定化運動の研究は有望に見える。他の治療法と比較すると、著しい改善が見られることがある。」

    「コア安定化訓練が一般的な訓練と比較されるとき、…両方の運動アプローチが同等に有効であることが実証されている。」

    「これらの研究は、改善が、脊柱安定性の改善よりもむしろ物理的な運動が患者に及ぼし得る肯定的な効果によるものであることを強く示唆している(一般的な運動も慢性腰痛を改善できることが知られている)」

    「コア安定化のエクササイズは、他のどのような運動よりも効果的ではなく、怪我を防ぐこともない。」

    「いずれの治療的影響も、コアスタビリティの問題ではなく、運動の影響に関連している。」

    The Myth of Core Stability
    Professor Eyal Lederman




    ◆コアスタビリティ運動も一般的な運動も腰痛に対する効果は変わらない。

    「コアスタビリティやモーターコントロール運動と普通の運動との差はない」という研究結果があります。

    「モーターコントロール運動は、表層の体幹筋(例えば脊柱起立筋 、腹直筋)とは独立的に、脊椎のローカル安定筋(例えば、多裂筋、腹横筋、内腹斜筋)を優先的に収縮させる方法を学ぶためのものである。

    それらは一般的にフィットネス専門家によって、特に腰痛を持つ人々のために「脊柱安定化」または「コアスタビリティ」を改善するために処方されます。」

    参考:The corrective exercise trap/NICK TUMMINELLO, JASON SILVERNAIL, BEN CORMACK.

    コクランによる2つのシステマチックレビュー
    「一般的な信念に反して、現在の一連の科学的エビデンスは、腰痛を予防または軽減するための手段としてモーターコントロール運動を使用することについて、特別なことは何も意味していないことを示している。」

    Macedo, LG, et al. Motor control exercise for acute nonspecific low back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews

    「亜急性または慢性腰痛患者集団を含むランダム化比較試験のある研究では、モーターコントロール運動と一般的な運動(腰部、骨盤領域、脚の筋力向上を目的とする)は患者集団の慢性腰痛を減少させるの等しく有効であることが分かった。

    研究者らは、「両タイプの介入間の対比は、共通の効果にさらなる価値をもたらさなかった」と結論付けた。

    運動療法の種類が以前に推定されたものより重要ではない可能性がある。患者が一貫した長期的な運動ライフスタイルに導かれることが最も重要だ。我々の研究結果は、種類に関係なく、一般的な運動は[非特異的腰痛]患者に有益であるという以前の知見を支持している。」

    A tailored exercise program versus general exercise for a subgroup of patients with low back pain and movement control impairment: A randomized controlled trial with one-year follow-up. Manual Therapy 20(5): 672-279, 2015.
    Saner, J, Kool, J, Sieben, JM, Luomajoki, H, Bastiaenen,CHG, and de Bie, RA.




    ◆まとめ

    これらのことから分かることは、

    ・腹筋の弱さと腰痛の関連性は低い

    ・肥満と腰痛の関連性は低い

    ・コアだけを分けて鍛えることはできない

    ・歩行や立位では体幹筋は殆ど使われない

    ・動きの初心者には内部フォーカスが有効だが、熟練者にはマイナスに働く。つまり体幹に意識を向かせるとパフォーマンスが低下する

    ・コアスタビリティのためのエクササイズは腰痛に効果があるが、普通の運動でも効果がある。

    です。

    ◆考察

    「体幹・コア」という言葉が独り歩きしている気がします。

    アウターマッスルやインナーマッスルと分けずに、複合的な要素の中の1つと見た方がいいかと思われます。

    複雑な概念を用いて処方するような運動と、一般的な運動ではどちらも腰痛に有効的であるということが分かります。

    しかし大事なことは、「差がない」ということです。

    つまり、複雑な概念を用いようが用いまいが、身体を動かせば腰痛軽減にとっては良いという事です。

    末梢神経のスライドやそれに伴う血流変化という視点から見れば当たり前のことです。

    痛みのない範囲で色々動くことは、「末梢神経のケア」に繋がります。

    しかし、Less is More~少ない方がより豊かになる~で考えることが大切だというのが、このようなサイエンスベースの証拠からわかります。





    ◉ お気軽にリツイート&シェアお願いします ▼

    関連コラム