TENSは腰痛に対して効果がないというエビデンスがある。
TENSは経皮的電気神経刺激ともいい、痛みのある部位などに対して電気刺激を行い、痛みを減らすと言われている機械のことです。
※写真は電気的なイメージです。
しかし、実際には、「効いていると感じたことがない」という声をよく聞きます。
実際のエビデンスはどうなのでしょうか?
有名なコクランレビューに、TENSとプラセボを比較したランダム化比較臨床試験(RCT)の論文がありました。
結論から言いますと、「TENSは腰痛に対して効果がない」ということです。
◆研究
Melzack and Wallによって概念化されたGate Control Theory(Melzack 1982)に基づいていた。
この理論によると、大径(Aβ)の一次感覚求心性神経の刺激は、脊髄後角の膠様質における抑制性介在ニューロンを活性化し、それによって小径のAδおよびC線維からの侵害受容信号の伝達を遮断する(Melzack 1965; Melzack 1982)。
内因性オピオイド系を含む上脊髄性メカニズムも記載されている(Han 1991; Hughes 1984; Kalra 2001; Salar 1981)。
全体として、TENSは「ゲートを閉め」、痛みの知覚を弱めるとされている(Melzack 1982)。周波数、振幅、パルス幅および波形が異なるいくつかのタイプのTENSの用途が臨床現場で使用されている。
しかしながら、高モードと低モードとの間で臨床的有効性に有意な差があるかどうかは不明でありそして明確に定義されていない(Belanger 2002; Johnson 1991a)。
TENSが腰痛強度の軽減に有益であるかどうかについての矛盾する証拠と、それが腰部の特異的な機能状態を改善しなかったという2つの試験(410人の患者)における一貫した証拠があった。
慢性腰痛についてTENSとプラセボを比較した4件の高品質ランダム化比較試験(RCT; 585人の患者)がこの研究に含まれた。
いくつかの有害作用が報告されており、典型的には軽度の皮膚刺激が治療群とプラセボ群で等しく観察された。治療開始後4日で重度の発疹を発症した参加者が1人いた。
要約すると、レビュの著者らは、慢性腰痛に対するTENSの恩恵に関して、矛盾する証拠を見出し、慢性腰痛の日常管理におけるTENSの使用を支持しない。
Transcutaneous electrical nerve stimulation (TENS) versus placebo for chronic low-back pain (Review)
Khadilkar A, Odebiyi DO, Brosseau L, Wells GA
◆結論
これらのことから、TENSは
- そもそも腰痛に対して効果がない。
- モード切り替えによる臨床的意義の定義がない。
- 皮膚への刺激という有害的な副作用が起こり得る。
ということが分かります。