ルフィ二終末・テーピングやスキンストレッチに反応する感覚受容器。
ルフィニ小体/終末とは、皮膚が伸ばされ続けている間、信号を中枢へ送り続ける感覚受容器のことです。
DNMスキンストレッチのように2分待つようなアプローチの間中、中枢へ信号を送り続けています。
逆にさっと触れるような一時的な刺激には反応しません。
無毛/有毛どちらの皮膚にもあり、真皮層の深部に存在しています。
広い受容野を持つので、少し離れたところからのスキンストレッチにも反応します。
テーピングの場合は、皮膚にテンションをかけて貼りつけると活性化します。
サイズは0.5〜2mmと言われていて、他の感覚受容器の中では大きい方です。
(他の受容器は、マイスナー小体(長さ約0.15mm/,直径0.04~0.07mm),メルケル細胞(直径約 0.007mm,厚さ約0.001mm),パチニ小体(長さ0.5~2mm,直径約0.7mm)
参考:Relationship between Structure of Finger Tissue and Location of Tactile Receptors.Takashi MAENO, Kazumi KOBAYASHI and Nobutoshi YAMAZAKI
線維はAβという有髄の触覚線維です。
皮膚の真皮層以外にも関節包、腱、腱膜、靭帯、筋膜にもあり、身体の固有受容感覚にも寄与しています。
皮膚を伸張させると固有受容感覚が変化するので、関節運動の可動域が変化したりします。
◆研究1
ゆっくり伸ばしたり、じっくり押すような徒手療法によるルフィ二終末への刺激は、交感神経活動の低下につながるという研究があります。
「ルフィ二終末は、関節包の外側層、硬膜、末梢の関節の靭帯、および手背の深筋膜のような規則的なストレッチに関連する組織で特に密集している。」
「膝関節では、ルフィ二終末は前部および後部の靭帯およびカプセル構造でより多く、一方パチニ体は関節の内側および外側により多い。」
「ルフィ二終末が、接線力と横方向(側方)の伸びに特に反応すること(Kruger 1987)、そしてルフィ二終末への刺激は、交感神経系活動の低下をもたらすと考えられていること(van den Berg&Capri 1999)に注目することは興味深い。」
※接線力とは、接触面に平行に働く力のこと。
Robert Schleip; Fascial plasticity – a new neurobiological explanation: Part 1. Journal of Bodywork and Movement Therapies Volume 7, Issue 1, January 2003, Pages 11–19
◆研究2
皮膚伸張は、運動感覚に寄与し、運動錯覚も起こすという研究があります。
運動錯覚は腱への振動が有名ですが、スキンストレッチでも起きるということです。
ちなみに運動錯覚は鎮痛作用もあると言われています。
「運動感覚的役割を果たす可能性が最も高い皮膚受容器は、スキンストレッチ受容器、すなわちルフィ二終末による遅順応型タイプII受容器である(Chambers et al.1972; Edin、1992)。」
「筋肉の振動と組み合わせたとき、手のスキンストレッチとより近位の関節上に生じる運動錯覚は、どちらかの刺激が単独で加えられたときよりも大きかった(Collins et al. 2005)。」
「著者は、これは単に筋肉の入力を容易にする皮膚の入力の問題ではなく、スキンストレッチによって生成された皮膚の入力が、それ自体で運動感覚に寄与しと指摘した。」
The kinaesthetic senses.
Uwe Proske Simon C. Gandevia
◆まとめ
皮神経は感覚神経線維と自律神経運動線維があります。
その感覚線維の末端は様々な感覚受容器になっています。
ルフィ二、パチニ、メルケル、マイスナー、毛包受容器などや、侵害受容を伝える自由神経終末があります。
スキンストレッチやテーピングによる機械刺激を中枢に伝えるのは今回取り上げたルフィ二終末です。
それは持続的な伸張で活性化し、固有受容感覚を変化させ、モーターコントロールに影響を与えます。
また、運動錯覚を起こすことで鎮痛効果もあります。