はじめに|コーヒーは頭痛を悪化させるのか
コーヒーを飲むと頭痛が楽になると感じる人もいれば、逆に頭痛が強くなると感じる人もいます。
実際、カフェインは多くの頭痛薬にも含まれており、短期的には鎮痛作用をもつことが知られています。
しかし一方で、慢性的なカフェイン摂取が片頭痛を悪化させる可能性も指摘されています。
またカフェインは神経系や睡眠にも影響するため、痛みの感じ方に関与している可能性があります。
本記事では研究論文をもとに
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カフェインと頭痛の関係
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カフェインと交感神経
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カフェインと睡眠
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慢性疼痛との関係
について整理します。
カフェインと頭痛の研究
この研究では、片頭痛患者108人を対象にカフェイン摂取と頭痛の関係を調べました。
そのうち36人がカフェイン摂取を完全に中止しました。
結果として、カフェイン摂取を中止したグループでは、片頭痛の急性治療の効果が改善する可能性が示されました。
つまり、カフェインをやめることで頭痛治療がうまくいく可能性があるという結果です。
参考:Caffeine discontinuation improves acute migraine treatment: a prospective clinic-based study.
カフェインが脳に与える影響
カフェインは中枢神経系(脳と脊髄)に作用する物質です。
脳では、アデノシン受容体という神経受容体に作用します。
アデノシンは通常
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神経活動を抑制する
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眠気を促す
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血管を拡張させる
働きを持っています。
しかしカフェインはアデノシン受容体を阻害するため
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神経活動が活発になる
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覚醒状態になる
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血管収縮が起こる
といった作用が生じます。
このため、カフェインは短期的には覚醒作用や鎮痛作用をもたらすことがあります。
カフェインと交感神経
カフェインは自律神経系にも影響を与えます。
特に
交感神経を活性化する作用
が知られています。
交感神経が優位になると
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心拍数の増加
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血圧上昇
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覚醒状態の維持
などが起こります。
短期的には集中力が高まるなどのメリットがありますが、慢性的に交感神経が優位な状態が続くと
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緊張状態
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筋緊張
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睡眠の質の低下
などを通じて、痛みの感じ方に影響する可能性があります。
カフェインと睡眠の質
カフェインの影響で重要なのは
睡眠への影響です。
カフェインは半減期が約5〜7時間と言われています。
つまり午後や夕方にカフェインを摂取すると、夜の睡眠に影響する可能性があります。
睡眠不足や睡眠の質の低下は
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片頭痛
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緊張型頭痛
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慢性疼痛
と関連することが多くの研究で指摘されています。
睡眠中には
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神経系の回復
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神経炎症の調整
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脳内老廃物の排出(グリンファティック系)
などが行われると考えられています。
そのため睡眠の質が低下すると、痛みの感受性が高まる可能性があります。
慢性的なカフェイン摂取と片頭痛
慢性的にカフェインを摂取すると、体はそれに適応しようとして
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アデノシン受容体の増加
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アデノシン濃度の上昇
が起こる可能性があります。
この状態でカフェインの効果が弱くなると、アデノシンによる血管拡張が強まり、片頭痛を引き起こす可能性があります。
さらに、片頭痛の治療に使われるトリプタン(血管収縮作用のある薬)は、毎日のカフェイン摂取によって効果が弱くなる可能性も指摘されています。
カフェインをやめると頭痛はどうなる?
研究では、カフェイン摂取を中止すると片頭痛の改善がみられる可能性が示されています。
ただし注意点があります。
カフェインを急にやめると
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頭痛
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眠気
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倦怠感
などの離脱症状が出ることがあります。
これは
リバウンド性の脳血管拡張
によるものと考えられています。
研究では、この状態は 約2週間程度で正常化する可能性が示されています。
結論|カフェインと頭痛の関係
研究からわかることは次の通りです。
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カフェインは短期的には鎮痛作用を持つことがある
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しかし慢性的な摂取は片頭痛を悪化させる可能性がある
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カフェインは交感神経を刺激する
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睡眠の質の低下が痛みに影響する可能性がある
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カフェインをやめると頭痛が改善する場合がある
片頭痛や慢性疼痛がある方は、コーヒーの量や飲む時間を見直してみるのも一つの方法かもしれません。
もしコーヒーの香りや味が好きであれば、カフェインを含まないデカフェコーヒーを試してみるのもよいでしょう。

