侵害受容器は組織の栄養にとって重要。
神経栄養因子・神経成長因子というものがあります。
伝達物質としての働き以外に、とても重要な働きをしています。
それが神経の「栄養」です。
そこに普段あまり働いていないと思われている「侵害受容器」が大きく関係しているのです。
◆研究1
神経栄養因子の基本的な概念は、栄養タンパク質が標的組織で合成され、逆行性輸送を介して神経細胞体に運ばれ、そこで栄養効果と生存効果を発揮するという仮説に基づいている。
NGFは標的器官で産生され、神経末端で吸収され、そして特定の受容体に結合した後、逆行性軸索輸送によって神経細胞体に運ばれる。
Peripheral nerve regeneration and neurotrophic factors
GIORGIO TERENGHI
◆研究2
自然な節減の例では、侵害受容器の遠心性機能は、損傷がない場合に保護的な役割を果たす。
通常の日常的な条件下では、ペプチド作動性侵害受容器は神経支配された組織の健康を促進する。
したがって、人の一生の間であっても、組織損傷のシグナルを発することがないかもしれないが、侵害受容器は神経支配された組織の健康を維持する栄養効果を発揮する役割を担っている。
実際、ほとんどの侵害受容器は、ほとんどの場合、痛みを誘発する刺激のセンサーとしてよりも、標的組織への栄養的な影響としての活性が高い。
皮膚、毛包、歯髄、鼓膜、硬膜、椎体、関節、内臓など多様な身体組織はすべて、侵害受容器の神経支配を受けている。侵害受容器がない場合、毛髪や爪の成長、皮膚、骨、軟骨などに明らかな変化が見られる。
侵害受容器の重要な栄養的役割の結果として、侵害受容器による神経支配の喪失は、創傷治癒、すなわち損傷に対する組織の反応を大幅に遅らせる。
侵害受容器からの栄養の影響がなければ、標的組織は損傷に直面しても健康と弾力性がなくなる。交感神経性遠心性神経への損傷もまた、末梢組織の健康障害の原因となる。その結果、末梢神経障害のある人はしばしば皮膚や爪が厚くなり、創傷治癒が非常に遅くなることがある。」
Peggy Mason, Medical Neurobiology, Oxford University Press; Second edition (March 8 2017).
Pages 322 and 323, Chapter 17, Somatosensation: From Movement to Pain.
◆まとめ
これらのことから、侵害受容器は侵害刺激を伝える以外の大きな仕事として、ニューロンへの栄養と、逆につながっている標的組織への栄養を送るということも行っています。
その関係性がなくなると、つながっている組織自体にも大きな問題が出てしまいます。そこに軸索流が関与しています。
この関係性は生きた細胞としか行えないので、ファッシアなどの生きていない結合組織とはこういった栄養交換は行っていません。