高齢者の可動域制限は筋肉よりも末梢神経の剛性が関与している。

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高齢者の可動域制限は筋肉よりも末梢神経の剛性が関与。

多くのセラピストが、関節可動域制限がある方に対して、関節の問題や筋の制限という視点のみで話を繰り広げています。

なぜ?末梢神経を無視するのでしょうか?

なぜ神経系を無視するのでしょうか?

そこで下記の論文です。

◆研究1

坐骨神経のストレッチは、股関節屈曲で評価された坐骨神経剛性13.3±7.9%の減少と最大背屈ROMの6.4±2.6°の増加の両方を誘発した。

さらに、坐骨神経の剛性の減少は、背屈時の最大ROMの変化と有意な相関があった。

これらの効果は、内側腓腹筋と大腿二頭筋の剛性、および足首の受動トルクに変化がない場合に発生した。

これらの結果は、筋肉の剛性を変化させることなく、坐骨神経を伸ばすことで最大背屈ROMを急速に増加させることができることを示している。

この研究は、末梢神経のストレッチが関節の最大ROMを改善するのに効率的であるといことを、生体内で初めて実験的に証明したものである。

興味深いことに、最近の研究では、関節の最大ROMが低下していることが知られている病態では、神経剛性が増加することが示されている。

このことは、適切な神経ストレッチ技術が、特定の神経障害の管理や、大きなROMが必要とされるスポーツにおいて有用な治療法である可能性を示唆している。

The potential role of sciatic nerve stiffness in the limitation of maximal ankle range of motion

Ricardo J. Andrade , Sandro R. Freitas, François Hug , Guillaume Le Sant, Lilian Lacourpaille, Raphäel Gross, Peter McNair & Antoine Nordez

 

◆研究2

現在の結果は、受動的な足首背屈ROMとヒラメ筋剛性(すなわち、DF15で測定されたSWS)との有意な関連を明らかにしたが、高齢の参加者の腓腹筋剛性とは関連していなかった。

今回の結果から、高齢者の参加者では、受動的な足首背屈ROMとヒラメ筋剛性との間に有意な相関が認められたが、腓腹筋剛性との間には有意な相関は認められなかった。

坐骨神経の剛性は、高齢の参加者では他動性ROMと関連していたが、若い参加者では関連していなかった。

これらの結果から、関節柔軟性の制限因子は若年者と高齢者で異なり、関節の柔軟性に対する非筋組織の相対的な寄与度は、加齢とともに筋よりも大きくなる可能性があることが示唆された。

Associations between Range of Motion and Tissue Stiffness in Young and Older People

KOSUKE HIRATA, RYOSUKE YAMADERA, and RYOTA AKAGI

 

◆まとめ

これらのことから、高齢者の関節可動域制限の重要な因子は、筋よりも末梢神経だということがわかります。

ストレッチするにしろ、DNMポジショナルリラクゼーションをするにしろ、筋の起始停止を伸ばすというよりも、末梢神経のコースを頭に入れた上での伸ばしたり、縮めたりすることが重要だということが考えられます。

神経系全体を見ないと「木を見て森を見ず」になってしまいます。

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