インソールは腰痛の予防にならない・コクランレビューによる研究

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インソールは腰痛の予防にならない
コクランレビューによる研究

インソールとは、歩行や姿勢などの基本的な動作をサポートし、足の衝撃を吸収し、バランスと固有受容能力を高めることを目的とした靴の中に敷く中敷のことです。

 

◆コクランによる2000人以上のシステマティックレビュー

コクランとは…

「コクランは20年にわたり、医療および医療政策に関する一次研究のシステマティックレビューを提供しており、科学的根拠(エビデンス)に基づく医療情報源として最高水準のものであることが世界的に認められています。」コクランWebより

そのコクランによる研究で、インソールには腰痛を予防する効果がないという結果が出ています。

「3件の予防研究(2061人の参加者)が、腰痛の予防に対するカスタマイズされたインソールと、カスタマイズされていないインソール両方の効果を調べました。 混合集団を対象とした3件の研究(256人の参加者)は、カスタマイズされたインソールが腰痛に及ぼす影響を調べた。」

インソールを使用しても腰痛を予防できないという強力な証拠がある。

(インソールについて一般的に言われている)
理論的知識と臨床的知識の両方が欠けていることを発見した。」

「四肢の長さの不平等と腰痛との関連性を調査した12の研究を発見したが、明確に関連は見られなかった。」

「非特異的な腰痛は、感染、新生物、転移、骨粗鬆症、関節炎、骨折、炎症過程、または神経根症候群などの識別可能な原因が検出されていないことを示している」

「 プラセボ、無介入または他の介入と比較して、腰痛の予防または治療のための、カスタマイズされたまたはカスタマイズされていないインソールの使用を検討した研究を含めた。」

インソールを使用した参加者と使用しなかった参加者との間で、腰痛の予防率に統計的に有意な差はなかった。

「このレビューでは、インソールと腰痛の予防または治療との関連について、これまでに医学文献に発表されているすべての関連する高品質臨床データの収集を試みた。

我々の検索は、我々の選択基準を十分に満たした6つの研究のみを同定した。

3件の研究は予防試験であり、3件は混合参加者集団を含んでいた(したがって、予防評価と治療評価の両方を受けた)。

適切なデータは3つの予防試験でのみ提供されており、それらの結果のメタアナリシスでは、インソールの使用と腰痛の短期予防との間に有意な関連性は認められなかった。

多くの中小製造業者は明確なデータの欠如を利用し(これはインソールが有益ではないことを示すことになるかもしれない)、そしてインソールは実際に腰痛を予防し、軽減すると一般人と医師が信じている。

「参加者の盲検化や研究は本質的に困難。従って、真の盲検化はプラセボ効果を減少させ、そしてインソールの効力を減少させるであろう。

「3つの研究は2000人以上の参加者を含み、かなりの統計的な力を提供した。たとえ、大規模な研究で、インソールが非常に効果的であると証明されたとしても、それらの絶対効果はおそらく小さだろう。」

Insoles for prevention and treatment of back pain (Review)

 Sahar T, Cohen MJ, Ne’eman V, Kandel L, Odebiyi DO, Lev I, Brezis M, Lahad A 

 

◆まとめ

この研究からインソールは腰痛予防に関連性がなく、疼痛軽減効果があったとしてもプラセボ効果が高いという事を示唆しています。

インソールによって動作や歩行のしやすさは変化すると思います。

しかしそのようなバイメカ的理論と、疼痛減少というペインサイエンス理論は分けて考えた方がいい時期に来ていると思います。

動作・歩行・姿勢を効率よくするのが、バイメカ・運動連鎖アプローチであり、
侵害受容刺激(痛み)を減少させるために、徒手アプローチを行うこと。

それらに相関するように心理的・プラセボ的な因子も加わってきます。

それら「疼痛減少・動作改善・心理的要因」をいったん分けたうえで、統合させてみていく必要があります。

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