ゲートコントロール理論はグリシン作動性ニューロンが関与。

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ゲートコントロール理論は
グリシン作動性ニューロンが関与。

ゲートコントロール理論とは、1965年頃にメルザック氏とウォール氏が発表した理論です。

優しい接触などの無害な入力によって、脊髄のニューロンの「ゲート」が閉じて、有害な入力が抑制される現象を仮説として理論立てました。

しかし、仮説による仮説であってなかなか妥当性の高い根拠がなかったのですが、最近マウスではありますが、一番妥当性が高いであろう研究が発表されました。

目次

◆研究1

マウスの実験。

「グリシン作動性後角ニューロンは疼痛とかゆみを部分的に制御する。
それらの局所的な抑制は、痛覚過敏および自発的な不快感の徴候を引き起こす。

局所的な活性化により、急性疼痛、神経因性の痛覚過敏、化学物質によるかゆみを軽減する。

痛みのゲートコントロール理論は、脊髄後角の抑制性ニューロンが、侵害受容性信号を高次脳領域へ伝達する際に重要なコントロールを行うことを提案している。

その結果、これらのニューロンは主に有髄の一次感覚ニューロンから感覚入力を受けており、局所的な毒素を介した切除や鎮静化により、局所の機械、熱、冷感性の痛覚過敏が引き起こされることが明らかになった。

彼らの理論によれば、抑制性の後角介在ニューロンはこの疼痛ゲートの物理的基礎を構成することになる。

それらは主に(非-侵害受容性)低閾値の有髄感覚神経線維からの入力によって活性化され、そして次に、脊髄の出力ニューロンの活動をコントロールすることになる。

最近の研究では、後角における感覚回路の抑制制御の低下が、後角ニューロンの興奮性と自発活動の増加をもたらし、通常は痛みに特異的なニューロンを、不適切な(非侵害性)信号によって、興奮させることができることを示唆している。

その結果、グリシン作動性ニューロンの選択的かつ局所的な活性化により、神経障害性マウスにおける急性の有害刺激に対する防御反応、痛覚過敏、およびクロロキンとヒスタミン誘発性のかゆみ反応が軽減された。

慢性疼痛は、後角ニューロンのシナプス抑制が低下した状態を伴う。

この脱抑制は、広く痛みの過敏性と自発痛の知覚に寄与すると考えられている。有髄の一次感覚ニューロンによるグリシン作動性後角ニューロンの強度の神経支配は、痛みのゲートコントロール理論の概念にうまく適合する

痛みを伴う信号の伝達を減らすために、軽いタッチが提案されている。 」

Targeted Ablation, Silencing, and Activation Establish Glycinergic Dorsal Horn Neurons as Key Components of a Spinal Gate for Pain and Itch

◆研究1/別の文章

細胞を切除または鎮静化させると、マウスの疼痛感受性が増加したが、細胞を活性化させると、疼痛およびかゆみ行動が減少した。

「ゲートコントロール理論の重要な側面は、後角の抑制制御が非-侵害性の触覚知覚性の線維からの入力によって強化されることである」

「触覚神経線維は後角深層に、疼痛線維は後角浅層に神経伝達することは非常によく知られている。

グリシン作動性介在ニューロンへの蛍光標識された感覚入力の90%以上が有髄であり、その求心性神経は触覚-感知ニューロンである可能性が高いことを示している。

Edmund Foster, Hendrik Wildner, Michael Bosl, Hanns Ulrich Zeilhofer
Mouse study reveals the cells have universal effect on nociception
by Stephani Sutherland on 30 Mar 2015

 

◆まとめ

これらのことから、非有害な触覚刺激により、脊髄後角にあるグリシン作動性ニューロンが活性化し、ゲートコントロール現象が起きている可能性が考えられることがわかります。

それによって侵害刺激入力が抑制され、侵害刺激を感じにくくなるということが考えられます。

優しく触れているだけで痛みが減るという現象の一部が解明されつつあります。

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