パーキンソン病は「腸」から起こる「脳」の疾患という可能性。

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パーキンソン病は
腸から起こる脳の疾患

パーキンソン病は、運動調整などに問題が起こる病ですが、その原因は腸にあるのでは?という研究が多数あります。そこでまずは腸の神経と中枢神経(脳)との繋がりをみていきましょう。

腸管神経系とは?

腸管神経系とは、胃腸などの消化管をコントロールする神経系のことで、第2の脳とも呼ばれています。 Enteric Nervous System、略してENSです。

自律神経系(ANS)といえば交感神経や副交感神経が有名ですが、その一部だと考えると分かりやすいです。

脳や脊髄である中枢神経系(CNS)と伝達しあっていて、脳からの出力や腸からの入力というやり取りを行なっています。腸管神経系には反射も存在するので、中枢神経を介さない機能もあります。

腸脳相関・腸脳軸とは?

最近よく聞くようになった言葉ですが、簡単に言うと、腸の影響が自律神経の入力を介して脳へ行き、脳の影響がホルモンや自律神経の出力を介して腸に行くという相関関係のことです。

消化管からの入力情報は、迷走神経を介して脳に伝わります。そして消化管からの感覚(快不快など)を感じます。

そして、脳内から不安や恐れなどの情動が生み出され、ホルモン放出や自律神経の出力を介して情報が消化管へ伝わり、消化管の動きに変化を起こさせます。

パーキンソン病とは?

パーキンソン病とは、脳の中脳の黒質と呼ばれる部位に溢れに神経細胞が減少することで起こります。そしてドーパミンと呼ばれる快感、意欲、運動調整に関与する神経伝達物質が減少し、下記のような症状が現れます。

手の震え、動きにくさ、筋肉が硬くなる、歩行が小刻みになる、動きが少なくなる、スムーズに動けなくなる、抑うつ、便秘など。

 

◆腸とパーキンソン病の関係

最近、パーキンソン病は、脳から始まるのではなく、腸から始まる病気という説が浮上してきました。

腸内環境が悪化したり、腸が炎症することで、あるタンパク質が迷走神経を介して脳に行き、神経細胞を損傷させているという説です。

「飲み込まれた物質や嗅覚物質は、腸内微生物を変化させる炎症反応を引き起こす可能性がある。

次に、α-シヌクレインと呼ばれるタンパク質が誤って折り畳まれ、迷走神経に沿って腸の内膜から脳に移動し、神経細胞の死を引き起こすことがある。  」

「パーキンソン病患者は、しばしば病気が現れるずっと前に、便秘などの消化器系の問題がある。」

「2000年代初め以来、科学者たちは、パーキンソン病患者の脳の悪性タンパク質が実際に腸や鼻に最初に出現する可能性があるという証拠を集めている(パーキンソン病の人々は一般に匂いの感覚を失う)。」

「炎症性腸疾患を有する人々は、それがない人々よりもパーキンソン病を発症する可能性が約30%高い。」

A gut-brain link for Parkinson’s gets a closer look. The misfolded proteins may start with microbes in the digestive system.  BY LAURA BEIL 

また塩分の摂取量が多いと、高血圧だけではなく、腸の免疫系に影響を与え、自己免疫疾患にもつながりやすいと言われています。

「腸脳軸の崩壊は、パーキンソン病および過敏性腸症候群を含む多様な疾患に寄与する。」

「塩分の摂取量が多いと腸の免疫が大きく変化し、その結果、自己免疫に対する脳の脆弱性が高まります。そのとき免疫系が誤って自身の健康な細胞や組織を攻撃する。」

「腸から送られた免疫シグナルが脳の血管を傷つけ、脳の病気や認知障害を悪化させる可能性がある。」

「…血圧への影響にかかわらず、過剰な塩がヒトの脳の健康に負の影響を及ぼす可能性があることを示している。」

「この新しく同定された腸脳相関は、免疫シグナル伝達経路を活性化することが示されている多発性硬化症、慢性関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患 を含むいくつかの自己免疫障害に及ぶ。」

A New Connection between the Gut and the Brain. A surprising way that diet leads risks of stroke and cognitive impairment. By Jonathan D. Grinstein on December 5, 2018

 

◆パーキンソン病は「便秘」から始まるという説。

「胃腸機能障害、特に便秘は、パーキンソン病の重要な非運動症状であり、しばしば運動症状の発症より何年も前に先行して起こる。」

「腸内細菌叢は、腸管神経系および迷走神経を含む多様な経路を介して自律神経系および中枢神経系と相互作用することが示されている。」

Gut microbiota are related to Parkinson's disease and clinical phenotype Filip Scheperjans MD, PhD  Velma Aho MSc, BA Pedro A. B. Pereira MSc

もしパーキンソン病になった場合は、自主的に日常生活の活動を行うことが大切です。

「われわれが発見したのは、沢山の運動ではなく、日常生活のルーティン的な活動が運動能力を保護しているということ。

…座っていることは誰にとっても悪いことだが、パーキンソン病患者にとってはさらに悪いことである。」

Parkinson's disease: Everyday activity more beneficial than occasional strenuous exercise University of Michigan Health System

 

◆まとめ

腸内環境の悪化により、あるタンパク質が腸から取り込まれ、腸管神経系の迷走神経を通じて中枢神経系である脳まで行ってしまいます。

そこで脳の神経細胞死を起こしたりすることが、パーキンソン病の発症の原因かもしれません。

さらに、塩分過剰摂取により、腸の免疫系が変化することで、さまざまな自己免疫疾患の発症に関与している可能性まであります。

食生活の改善は重篤な脳の疾患や、自己免疫疾患を発症させないために非常に重要です。

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