脳卒中後中枢性疼痛は、感覚入力の誤った解釈の結果。

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脳卒中後中枢性疼痛は、
感覚入力の誤った解釈の結果。

脳卒中後に痛みが出るという話を聞くことがあります。

それは果たして中枢神経だけが原因なのか?

末梢神経も関与しているのか?

気になりませんか?

目次

◆研究・脳卒中後中枢性疼痛(CPSP)

「脳卒中後中枢性疼痛は、神経因性疼痛障害であり、その根本的なメカニズムはよく理解されていない。

脳卒中後中枢性疼痛は、損傷したCNSニューロンによって自発的に生成されるのではなく、脳内の感作したニューロンによる求心性感覚入力の誤った解釈の結果であると仮定した。

リドカインによる超音波ガイド下末梢神経ブロックを行い、痛みを伴う四肢からの求心性感覚入力を遮断した。

末梢感覚入力の遮断により、8人中7人の被験者で30分以内に痛みが完全に消失し、残りの被験者は50%を超える疼痛軽減が得られた。

この結果から、脳卒中後中枢性疼痛が、中枢神経系内で自律的に生じる可能性が低いことを示唆している。

むしろ、この痛みは末梢の疼痛部位からの求心性入力に依存しており、中枢神経系の感作されたニューロンによる末梢感覚入力の誤った解釈によって介されてた可能性がある。

痛みは脳卒中の最も一般的な合併症の1つであり、39%〜55%の有病率が報告されている。

脳卒中後の痛みの主なタイプは、頭痛、肩の痛み、痙縮、脳卒中後中枢性疼痛(CPSP)である。

むしろ、疼痛部位からの求心性感覚入力は、CPSPにおける自発的な(そして誘発された)痛みを維持する役割を果たしている。

脳卒中によって損傷を受けた中枢神経系内の感覚ニューロンが、求心性刺激に感作され、通常の状態下では侵害受容閾値を下回る些細な感覚入力(例えば、外気温の感覚)に続いて起こる活動電位を発生させるということには、一貫性がある。

私たちの結果は、求心性感覚入力がCPSPに苦しむ患者の痛みを維持する上で重要な役割を果たしているというエビデンスを提供するものである。

これは、脳卒中後のCPSPは、自律的で異所性な中枢神経系活動によるものではなく、求心性入力に対する中枢神経系ニューロンの感作が原因で、CPSPが発生する可能性があるという仮説を支持するものである。

How central is central post-stroke pain?
The role of afferent input in post-stroke neuropathic pain: a prospective open-label pilot study

Simon Haroutounian, Andria L. Ford, Karen Frey, Lone Nikolajsen, Nanna B. Finnerup, Alicia Neiner, Evan D. Kharasch, Pall Karlsson, Michael M. Bottros

◆まとめ

この研究から末梢からの入力を、脳が解釈を誤った結果、「痛み」として錯覚している可能性が高いということがわかります。

触れるだけで痛いと感じてしまうアロディニアは脊髄後角の中枢性感作と言われています。

その場合も、本来は触覚という感覚入力なのに、侵害受容だと感じてしまう錯覚のようなことが起こります。

脳卒中後の痛みも、脳の間違った解釈で似たように錯覚が起きて痛いと感じているということですね。

痛み=侵害受容とは限らないという視点がいかに大切かを知ることができますね。

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