鍼をゴム手に刺しても得気感覚と脳の変化が起こる。

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鍼をゴム手に刺しても、得気感覚と脳の変化が起こる。

ゴムでできた偽物の手に鍼を打っても、鍼独特の響きが感じられ脳の特定領域も活性化することが分かってきています。

まず、本物の手とゴムの手を同時になでることで、ゴムの手が自分の手のように感じさせます。

その後、本物の手とゴム手へ同時に鍼を打つと言いながら、実際にはゴム手だけに鍼を刺した時にどうなったかという研究を紹介します。

ゴム製の手が実際の体に完全に組み込まれたとき、ゴム製の手への鍼治療の刺激は、背外側前頭前野(DLPFC)、島、二次体性感覚皮質(SII,内側側頭(MT)視覚領域における脳活性化と同様に、得気感覚をもたらした。島の活性化はゴム手からの得気感覚と関連していた。

※得気(とっき)感覚とは、鍼を刺した後に起こる痛み、しびれ感、響き感などの感覚のこと。

さらに、実験者がこの幻想の間にゴム製の手を針で脅かすと、それは一般的に高められた交感神経性反応および測定可能な皮質不安反応を誘発した。それはゴム製の手の身体所有権が脳の内臓システムの変化を引き起こすことを示す。

DLPFCは、認知表現の生成、維持、および操作に関連する下行性疼痛調節システムの重要な構成要素であり、これは期待される役割と一致している。

DLPFCにおける脳の活性化は、特に本研究のデザインに内在する視覚的要素のために、鍼治療中に参加者が経験した期待から導き出される可能性がある。

以前のニューロイメージング研究は、ある条件下では、鍼治療からもたらされる身体的注意の増強が、その治療効果と関連することを提案した。

科学的な調査では、人体における伝統的な中国の気の概念との組織学的または生理学的な相関関係はまだ特定されていない。

最近、ファントム鍼治療と呼ばれる新しい形態のプラセボ鍼治療が、視覚ディスプレイを使用することによって驚くほどの鍼治療感覚および自律神経反応をもたらすことが示されたが、ファントム鍼治療を信頼するときだけであった。

Psychophysical and neurophysiological responses to acupuncturestimulation to incorporated rubber hand

Youngbyoung Chaea, In-Seon Lee, Won-Mo Junga, Kyungmo Park, Hi-Joon Park,Christian Wallraven

◆まとめ

このことから、ゴム手に身体所有感が生まれると鍼刺激でも得気(鍼の響き)感覚が生まれ、様々な脳領域が活性化することが分かります。

そのような脳の活性化は「期待感」や「注意」によって生まれます。

また刺さない鍼でも、視覚を通して鍼感覚や自律神経の変化が起こります。しかし、それはその治療を信頼するときだけであったという事。

それはつまり、鍼治療の効果におけるある一面として、刺すことではなく、鍼治療への予測や期待という「プラセボ鎮痛効果」があると考えられます。

もちろん徒手療法でも期待や予測は脳のニューロマトリックスに影響を与え、痛みの主観を変化させます。それであれば刺すという侵襲性の高い方法を使う必要もなくなります。

「科学的な調査では、人体における伝統的な中国の気の概念との組織学的または生理学的な相関関係はまだ特定されていない。」

サイエンスからみた鍼の効果は、プラセボ+まだ解明されていない何か、となります。

もしかしたらその何かは「皮神経」かもしれません。

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