はじめに|下行性疼痛抑制系とは何か
痛みは単に身体から脳へ伝わる信号ではありません。
神経系は侵害受容信号を受け取るだけではなく、その伝達を調整する仕組みを持っています。
この調整を担う神経回路の一つが 下行性疼痛抑制系(descending pain inhibitory system) です。
この神経回路は脳から脊髄へ信号を送り、侵害受容信号の伝達を調整します。
そのため痛みは、末梢からの入力だけで決まるのではなく、中枢神経の調節によって変化する可能性があります。
下行性疼痛抑制系の研究の歴史
下行性疼痛抑制系の研究は、1960年代から1970年代にかけて進展しました。
動物実験では、中脳の 中脳水道周囲灰白質(PAG:periaqueductal gray) を刺激すると痛み反応が抑制されることが報告されました。
この発見は、脳が痛みを調節する神経回路を持っている可能性を示しました。
その後の研究では、PAGからRVMを経由し、脊髄後角へと続く下行性神経回路が確認されました。
これらの回路は、広い意味では下行性調節に含まれ、その中に痛みを抑制する下行性疼痛抑制系が位置づけられます。
下行性疼痛抑制系の神経回路
下行性疼痛抑制系は、いくつかの重要な神経構造によって構成されています。
中脳水道周囲灰白質(PAG)
PAGは痛み調節に重要な中枢の一つです。
この領域は、情動、ストレス、期待などの情報と関連しています。
延髄腹内側部(RVM)
RVMは脊髄後角への神経出力を調整する領域です。
この領域には、痛みを抑制するニューロンと促進するニューロンの両方が存在すると考えられています。
脊髄後角
脊髄後角は、末梢神経からの侵害受容入力が最初に統合される場所です。
下行性神経回路は、この部位で侵害受容信号の伝達を調整します。
下行性調節(Descending Modulation)
痛みの調節には、脳から脊髄へ向かう神経回路による 下行性調節(descending modulation) が関与しています。
下行性調節とは、中枢神経系から脊髄へ下行する神経回路によって、侵害受容信号の伝達を調整する働きです。
この調節機構には
・痛みを抑制する働き
・痛みを増強する働き
の両方が含まれています。
そのため descending modulation という概念は、必ずしも鎮痛だけを意味するものではありません。
一方で 下行性疼痛抑制系(descending pain inhibitory system) は、この下行性調節の中でも 痛みを抑制する働きに関係する神経回路 を指す用語です。
つまり
・下行性調節(Descending Modulation)
→ 痛みの抑制と促進の両方を含む広い概念
・下行性疼痛抑制系(Descending Pain Inhibitory System)
→ 痛みを抑制する働きに関与する神経回路
という関係になります。
下行性調節の作用は、脊髄後角に存在する広作動域ニューロン(Wide Dynamic Range neurons:WDR)に影響すると考えられています。
これらのニューロンには
・侵害受容性C線維
・Aδ線維
・触覚入力を伝えるAβ線維
など複数の求心性入力が収束しています。
研究では、下行性調節はこの脊髄後角の神経活動を変化させることで疼痛知覚に影響を与える可能性が示されています。
「下行性調節効果は、侵害受容性のC線維とAδ線維、Aβ線維が収束する脊髄後角の広作動域ニューロンに作用する。」
Pain Modulation: From Conditioned Pain Modulation to Placebo and Nocebo Effects in Experimental and Clinical Pain
DNIC(広汎性侵害抑制調節)とCPM
下行性疼痛抑制系と関連する現象として DNIC(Diffuse Noxious Inhibitory Controls) が知られています。
DNICは
「痛みが痛みを抑制する」
と表現される現象です。
例えば身体のある部位に強い侵害刺激が加わると、別の部位の痛みが軽減することがあります。
この現象は、脳幹を介した下行性疼痛抑制回路と関係していると考えられています。
現在では CPM(Conditioned Pain Modulation) と呼ばれることもあります。
研究では、このDNIC現象には内因性オピオイド系が関与している可能性が示唆されています。
「内因性オピオイドがDNICの根底にあるメカニズムであることが複数の研究により示唆されており、最近ではDNICを条件刺激性疼痛調節(CPM)と呼ぶことが示唆されている。」
The Role of Descending Modulation in Manual Therapy and Its Analgesic Implications: A Narrative Review
Andrew D. Vigotsky and Ryan P. Bruhns
下行性疼痛抑制系とプラセボ鎮痛
プラセボ鎮痛は、下行性疼痛抑制系と関係している可能性があります。
患者が治療効果を期待すると、脳の活動が変化し、下行性疼痛抑制系が活性化する可能性があります。
このような神経回路の変化は、薬理作用がない介入でも痛みが軽減する理由の一つとして考えられています。
一方で、プラセボとは逆に痛覚過敏を引き起こす ノセボ効果 も報告されています。
研究では、ノセボ反応はコレシストキニン(CCK)などの神経伝達物質と関連する可能性が示されています。
「対照的に、ノセボによる痛覚過敏の効果は、他の神経伝達物質の中でもコレシストキニン系(CCK)の放出を賦活する。」
Pain Modulation: From Conditioned Pain Modulation to Placebo and Nocebo Effects in Experimental and Clinical Pain
CCKは内因性オピオイドの鎮痛作用を抑制する働きを持つと考えられており、その結果として痛覚過敏が生じる可能性があります。
下行性疼痛抑制系と神経化学物質
下行性疼痛抑制系では、さまざまな神経化学物質が疼痛調節に関与しています。
これらは主に
・神経伝達物質(neurotransmitters)
・神経ペプチド(neuropeptides)
に分類されます。
神経伝達物質は、神経終末からシナプス間隙へ放出され、比較的短時間で神経活動を調節する低分子化合物です。
代表的なものとして
・セロトニン
・ノルアドレナリン
・ドーパミン
などがあります。
一方、神経ペプチドはアミノ酸が連なったペプチド分子であり、神経活動をより持続的に調節する作用を持つと考えられています。
疼痛調節に関与する代表的な神経ペプチドとして
・エンドルフィン
・エンケファリン
・ダイノルフィン
などの内因性オピオイドが知られています。
また近年では、エンドカンナビノイドのような 脂質シグナル分子 も疼痛調節に関与する重要な内因性システムとして研究されています。
研究では、下行性疼痛調節には複数の神経化学物質が関与することが示されています。
「内因性モノアミン、オピオイド、カンナビノイドを含む複数の神経伝達物質は、動物とヒトの内因性抑制伝導路による疼痛調節に関与する。」
Pain Modulation: From Conditioned Pain Modulation to Placebo and Nocebo Effects in Experimental and Clinical Pain
ここでいう モノアミン(monoamines) とは、
・ドーパミン
・ノルアドレナリン
・アドレナリン
・セロトニン
・ヒスタミン
などの神経伝達物質の総称です。
また、鎮痛機構には内因性オピオイドの放出も関与する可能性があります。
「エンケファリン、β-エンドルフィン、ダイノルフィンを含む内因性オピオイドの放出による鎮痛作用が含まれる。」
Pain Modulation: From Conditioned Pain Modulation to Placebo and Nocebo Effects in Experimental and Clinical Pain
セロトニン(5-HT)
セロトニン(5-HT)は、痛み、炎症、認知、情動(特に不安や抑うつ)など多くの生理機能に関与する重要な神経伝達物質です。
体内分布は
・約90%:消化管
・約8%:血小板
・約2%:中枢神経系
とされており、主に末梢組織に存在しています。
研究では、5-HTは脊髄の下行性促進および抑制伝導路など複数の神経回路を介して、疼痛知覚を促進する場合と抑制する場合の両方に関与することが報告されています。
「セロトニン(5-HT)は、痛み、炎症、認知、情動(特に不安や抑うつ)など多くの生理機能に影響する重要な神経伝達物質である。」
「5-HTは脊髄の下行性促進および抑制伝導路など、さまざまな神経回路を介して疼痛知覚を促進または抑制する。」
Multiple modulatory roles of serotonin in chronic pain and injury-related anxiety
ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)
ノルアドレナリン(noradrenaline)は、別名ノルエピネフリンと呼ばれる神経伝達物質およびホルモンであり、交感神経系の活動や闘争・逃走反応に関与する物質です。
生合成経路では、ドーパミンがノルアドレナリンの前駆体となり、さらにノルアドレナリンはアドレナリンの前駆体となります。
研究では、ノルアドレナリンは視床下部‐下垂体‐副腎系(HPA軸)の調節にも関与することが示されています。
「ノルアドレナリン量が増加するほど視床下部室傍核におけるCRH放出量が増加し、結果としてHPA軸活動が増加する。」
Self-soothing behaviors with particular reference to oxytocin release induced by non-noxious sensory stimulation
また、ノルアドレナリンは疼痛調節にも重要な役割を持っています。
下行性疼痛抑制系では、脳幹から脊髄後角へ投射するノルアドレナリン作動性経路が存在し、侵害受容信号の伝達を抑制する作用が報告されています。
「ノルアドレナリン作動性疼痛抑制効果は、特に脊髄後角のα2アドレナリン受容体への作用により、炎症性疾患および神経障害性疼痛で鎮痛効果が強くなる。」
Noradrenergic pain modulation / 2006
ドーパミン
ドーパミン(dopamine)は、中脳腹側被蓋野(VTA)から側坐核や前頭前野へ投射する報酬系に関与する神経伝達物質です。
この神経系は、快楽、報酬、動機づけ、学習などの行動調節に関係しています。
研究では、ドーパミン系とオピオイド系が痛みと快楽の両方の調節に関与することが示されています。
「オピオイドは“快楽”体験に必要だが、ドーパミンは“欲求”という準備を行い、行動への動機づけを生む。」
「オピオイド系とドーパミン系は、痛みと快楽の両方の調節において重要な役割を果たす。」
「一時的なドーパミン増加はオピオイドレベルを上昇させるが、持続的なドーパミン増加はオピオイドレベルを低下させる。」
A common neurobiology for pain and pleasure / 2008
さらに、ドーパミン放出は側坐核での内因性オピオイド産生と関連し、下行性疼痛抑制系の活性化に関与する可能性が報告されています。
「ドーパミン放出に伴い側坐核でμオピオイドが産生され、下行性疼痛抑制系が活性化され疼痛が抑制される。」
Association between brain and low back pain / 2016
一方で、ストレス、不安、抑うつなどの心理的要因はドーパミン系の機能低下と関連する可能性があります。
「ストレス、不安、うつ病はドーパミン系の機能不全の原因と考えられている。」
「うつ病、不安、ストレスがある場合、疼痛刺激に対するドーパミン反応が不十分となり、その結果μオピオイドが産生されず疼痛抑制メカニズムが働かない。」
「避けられないストレスへの長期曝露は、側坐核におけるドーパミン分泌の減少と持続する痛覚過敏の両方を引き起こす。」
Stress and dopamine implications for the pathophysiology of chronic widespread pain
さらに研究では、ドーパミンは疼痛刺激に対する行動選択にも関与することが示されています。
「急性痛刺激後のドーパミン放出はサリエンスの手がかりとして作用し、接近行動や回避行動に重要である。」
「慢性疼痛がドーパミン分泌低下を引き起こし、動機づけ行動を阻害することを示すエビデンスが存在する。」
Mesolimbic dopamine signaling in acute and chronic pain: implications for motivation, analgesia, and addiction / 2016
内因性オピオイド
内因性オピオイド(endogenous opioids)は、痛み調節に関与する重要な神経ペプチド群です。
代表的なものとして
・エンドルフィン
・エンケファリン
・ダイノルフィン
などが知られています。
これらは脳幹や脊髄に分布するオピオイド受容体に作用し、侵害受容信号の伝達を抑制することで鎮痛作用を発揮します。
βエンドルフィンは代表的な内因性オピオイドであり、侵害刺激、ストレス、痛みなどの状況で下垂体や視床下部から分泌されます。
その結果
・鎮痛
・鎮静
・多幸感
などの作用が生じることが知られています。
また、熱い風呂や冷水への曝露などの刺激によっても放出されることが報告されています。
βエンドルフィンの前駆体は プロオピオメラノコルチン(POMC) であり、この分子は副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の前駆体でもあります。
「βエンドルフィンはモルヒネに匹敵する鎮痛作用を持つだけでなく、18〜33倍強力な内因性オピオイドペプチドである。」
The Role of Descending Modulation in Manual Therapy and Its Analgesic Implications: A Narrative Review
さらに研究では、オピオイド系は下行性疼痛抑制回路の重要な構成要素であることが示されています。
「オピオイドの活性化は、中脳水道周囲灰白質(PAG)と延髄吻側腹内側部(RVM)のドーパミン作動性ネットワークを刺激し、D1ドーパミン受容体を介して下行性抑制に関与する。」
The discovery of endogenous opioid systems: what it has meant for the clinician’s understanding of pain and its treatment
エンドカンナビノイド
エンドカンナビノイド系も疼痛調節に関与する重要な内因性システムの一つです。
研究では、エンドカンナビノイド系は疼痛伝導路のさまざまな段階で調節作用を持つことが示されています。
「エンドカンナビノイド系は現在、疼痛プロセス伝導路の全ての段階で調節作用を持ち、痛みの感覚を調節する重要な内因性システムの1つであることが分かっている。」
脊髄より上位のレベルでは、前頭葉‐大脳辺縁系回路を介して視床の上行性疼痛信号や脳幹の下行性調節信号、さらに疼痛の情動的側面にも影響を及ぼす可能性があります。
「脊髄上部レベルでは、エンドカンナビノイド系は前頭葉‐大脳辺縁系回路の作用を通じて、視床における上行性疼痛信号、脳幹における下行性調節信号、そして疼痛感覚の情動的側面に影響を及ぼすことができる。」
The Role of the Endocannabinoid System in Pain / 2015
外因性カンナビノイドとエビデンス
なお、外因性カンナビノイド(大麻関連物質)については、現在のところ臨床的なエビデンスは限定的とされています。
「現時点では、大麻と外因性カンナビノイドの痛みに対する一般的な使用を国際疼痛学会が支持するには、十分な高品質の人間の臨床安全性と有効性のエビデンスが存在しない。」
国際疼痛学会(IASP) / 2021
慢性疼痛と下行性疼痛抑制系
慢性疼痛では、下行性疼痛抑制系の機能が変化している可能性があります。
研究では、慢性疼痛患者では痛み抑制機能が低下していることが報告されています。
その結果、脊髄レベルでの侵害受容信号が過剰に伝達される可能性があります。
このような神経回路の変化は、慢性疼痛の持続と関係している可能性があります。
徒手療法の鎮痛機序
徒手療法では、筋肉・関節・筋膜などの組織構造が痛みの原因と説明されることが多くあります。
しかし近年の研究では、徒手療法による鎮痛効果には 神経生理学的反応 が関与している可能性が指摘されています。
徒手による刺激は、組織を直接変化させるというよりも、神経系の活動を変化させるきっかけとなり、下行性疼痛調節による出力の変化を引き起こす可能性があります。
ここで重要なのは、痛みは入力ではなく 神経系の出力として経験される現象 であるという視点です。
神経科学の観点では、脳にはさまざまな神経伝達物質や内因性オピオイドを産生する神経核が存在しています。
これらの神経核は、状況に応じて鎮痛作用を持つ神経化学物質を放出し、疼痛調節に関与すると考えられています。
神経科学者である Butler(2013)は、これらの神経核の働きを 「脳内の薬箱(pharmacy in the brain)」 という比喩で表現しています。
つまり神経系は、外部から薬を投与しなくても、状況に応じて
・神経伝達物質
・内因性オピオイド
などの鎮痛作用を持つ物質を産生する能力を持っているという考え方です。
この視点から見ると、徒手療法や運動療法などの介入は、組織そのものを直接変化させるというよりも、神経系が持つ疼痛調節システムを活性化するきっかけとして働く可能性があります。
徒手療法による疼痛調節と神経化学物質
下記のように、さまざまな徒手療法によって放出される神経伝達物質についての研究があります。
下記引用:The Role of Descending Modulation in Manual Therapy and Its Analgesic Implications: A Narrative Review
Andrew D. Vigotsky and Ryan P. Bruhns
「鎮痛が誘発される別のメカニズムは、下行性調節回路を介するものであり、ここではセロトニン(5-HT)、バソプレシン、オキシトシン、アデノシン、エンドカンナビノイド、内因性オピオイドを含む多数の神経伝達物質が、侵害受容回路および疼痛出力を調節するために、吻側延髄腹内側部および中脳水道周囲灰白質のような構造に作用することが示されている。
さらに、考慮すべき重要なことは、人のタッチによって引き起こされる鎮痛反応とプラセボも内因性オピオイドと内在性カンナビノイドによって仲介されている。
「内因性オピオイドがDNICの根底にあるメカニズムであることが複数の研究により示唆されており、最近ではDNICを条件刺激性疼痛調節(CPM)と呼ぶことが示唆されている。」
オステオパシー療法
内在性カンナビノイドが、オステオパシー療法の鎮痛作用に役割を果たす可能性。
20人の男性被験者への研究。
「βエンドルフィンとアラキドニルエタノールアミド(AEA)の内因性類似物であるN-パルミトイルエタノールアミド(PEA)、またはエンドカンナビノイドであるアナンダミドの増加が、治療の30分後に観察された。」 「…これらのデータは、内在性カンナビノイドが、オステオパシー療法の鎮痛作用に役割を果たすことを示唆している。」
※アナンダミド…内因性カンナビノイのひとつで鎮痛に関与、2-AG…内因性カンナビノイドのひとつ。
脊椎マニピュレーション
「上部頸椎をモビライゼーションすることを目的とした徒手を受けた実験群において、わずかではあるが血漿中β-エンドルフィン濃度の統計的な増加を発見した。
複数のレビューもまた、脊椎マニピュレーションの疼痛調節メカニズムを調査しており、鎮痛の起源は神経生理学的な性質であり、ある種の下行性疼痛調節回路を通して起こることに同意した。」
神経モビライゼーション
「これらのデータは、神経モビライゼーション治療を受けた人々によって報告されている鎮痛効果が、ダイノルフィンAおよびそのサブタイプなどのκ-オピオイド受容体に作用する内因性オピオイドによって仲介される可能性があることを示している。」
マッサージ療法
「深部マッサージは、それらの侵害受容誘発性のために条件刺激性疼痛調節反応を引き出すかもしれません。」
結合組織マッサージ
「結合組織マッサージ後の血漿中β-エンドルフィンレベルの統計的増加が示された。これらの結果は条件刺激性疼痛調節反応を示しており、それは下行性抑制を介して疼痛を調節する。」
従来のマッサージ
「上背部への15分間のスウェーデン式マッサージを安静と比較したところ、対照群と比較してマッサージ群では血漿オキシトシンの統計的増加とβ-エンドルフィンの統計的減少が見られた。2つの研究においてマッサージがドーパミンとセロトニンの尿中濃度を増加させることを発見した。
セロトニンとドーパミンのレベルがそれぞれ28%と31%増加していることがわかった。
「4ヵ月の非マッサージ期間と比較した場合、毎日3ヵ月間、毎日20分間マッサージを行った後、母親と子供の両方で劇的な増加が観察された。」「最終的な介入後、1週間に2回のグループ(0.92)でオキシトシンの大きな効果が観察された。」「前述の研究から、オキシトシンが従来のマッサージ療法後の鎮痛反応において役割を果たすことは明らかであると思われる。」
結論
下行性疼痛抑制系は、脳から脊髄へ向かう神経回路であり、侵害受容信号の伝達を調整する重要な仕組みです。
この調節機構は、DNIC(CPM)、プラセボ鎮痛、慢性疼痛、徒手療法による鎮痛など、さまざまな現象と関係している可能性があります。
多くの研究では、徒手療法や接触刺激が神経生理学的反応を引き起こし、下行性疼痛調節回路を介して疼痛調節に関与する可能性が示されています。
「人間の接触による鎮痛作用とプラセボの両方が、内因性オピオイドまたは内在性カンナビノイド反応によって媒介される…ほぼすべての種類の徒手療法は、下行性疼痛調節回路に関連する神経生理学的反応を引き出すことが示されている。」
The Role of Descending Modulation in Manual Therapy and Its Analgesic Implications: A Narrative Review
Andrew D. Vigotsky and Ryan P. Bruhns
これらの知見は、徒手療法による鎮痛を単なる組織構造の変化だけで説明することの限界を示しています。
痛みを理解する際には、末梢神経の状態と入力、中枢神経の調節、治療の文脈を含めて統合的に捉えることが重要です。
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