肘内反ストレステストとは何か
肘内反ストレステストは、肘の外側側副靱帯に内反方向の負荷を加え、肘外側の痛みや不安定さを確認する検査です。
検査では、上腕を安定させ、肘を軽度屈曲位、約20〜30°にして、前腕に内反方向のストレスを加えます。
外側側副靱帯は、肘関節の内反ストレスに抵抗する主要な組織として扱われます。
特に外側尺側側副靱帯は、肘外側不安定性と関係が深い組織です。
ただし、肘外側の痛みは、外側側副靱帯だけで説明できるとは限りません。
総指伸筋腱起始部、関節包、橈骨輪状靱帯、橈骨神経深枝、後骨間神経などが近接しているためです。
そのため、陽性所見は外側側副靱帯への負荷反応として扱いながらも、総指伸筋腱起始部や末梢神経の関与も含めて考える必要があります。
この検査で言えるのは、外側側副靱帯への負荷で、痛みや不安定さが再現または変化したということまでです。
肘内反ストレステストと画像所見は一致するのか
この論文では、慢性の肘後外側回旋不安定性は、画像だけで判断するものではなく、患者様の病歴、肘外側の痛み、不安定感、クリック感、身体診察を含めて判断する病態として説明されています。
外側側副靱帯の損傷だけでなく、橈側側副靱帯、外側尺側側副靱帯、橈骨輪状靱帯、関節包など、複数の組織が肘外側の安定性に関与します。
そのため、MRIは外側側副靱帯の損傷や瘢痕組織、軟骨損傷、総指伸筋腱起始部の損傷を確認するうえで有用ですが、痛みや不安定さの主な要因を画像だけで決めることはできません。
肘内反ストレステストの陽性所見も同様に、外側側副靱帯への負荷で症状が変化したことを示す所見であり、それだけで外側側副靱帯損傷を確定するものではありません。
Lateral collateral ligament injuries of the elbow
Mica MC, et al.
肘内反ストレステストを末梢神経の視点から再検討する
この検査で考えたい末梢神経は、まず橈骨神経です。
肘外側から前腕外側の痛みでは、橈骨神経本幹、橈骨神経深枝、後骨間神経へ移る部位が症状に関わることがあります。
とくに、前腕外側へ広がる痛み、回外/回内や把持での悪化、しびれより鈍痛やだるさが中心にある場合には、橈骨神経系の関与も検討する必要があります。
そのため、肘内反ストレステスト陽性をそのまま外側側副靱帯損傷とみなすのではなく、テニス肘、橈骨神経、後骨間神経との重なりも含めて考える必要があります。
結論
肘内反ストレステストは、外側側副靱帯へのストレスに対する反応をみる検査です。
しかし、陽性だからといって外側側副靱帯損傷を確定することはできません。
橈骨神経の反応でも、肘外側痛や不安定さは生じます。
また、画像上の変化と症状は一対一で対応するとは限らず、MRI所見だけで痛みや不安定さの主な要因を決めることもできません。
したがって、肘内反ストレステストは症状をみる一つの材料として位置づけ、画像、疼痛部位、誘発動作、外側側副靱帯への負荷反応、橈骨神経系の分布との重なりを含めて解釈することが重要です。
関連コラム|クリティカルシンキングの理解を深める

