トンプソンテストとは何か
トンプソンテストは、アキレス腱断裂を評価するために用いられる整形外科的テストです。
検査では、患者様を腹臥位にし、膝関節を90°屈曲した状態で下腿三頭筋を把持して圧迫します。
通常であれば、下腿三頭筋への圧迫によってアキレス腱を介した張力が踵骨へ伝わり、足関節底屈が起こります。
足関節底屈が消失または著しく低下していれば、陽性所見としてアキレス腱断裂を疑います。
この検査でみているのは、腓腹筋・ヒラメ筋からアキレス腱を介して踵骨へ力が伝わる連続性です。そのため、トンプソンテストはアキレス腱断裂、とくに急性の完全断裂を疑う場面で有用な検査として位置づけられます。
ただし、この検査だけで断裂の位置、断裂幅、部分断裂か完全断裂か、周囲組織の損傷まで細かく確定できるわけではありません。
また、完全断裂であっても、足趾屈筋群や後脛骨筋などの作用によって足部がわずかに動く場合があります。
したがって、足関節底屈の有無だけでなく、下腿三頭筋への圧迫に対してどの程度明確な底屈が起こるかを確認する必要があります。
トンプソンテストの診断精度をどう読むか
この論文では、アキレス腱完全断裂と診断された174例と、断裂が疑われたものの画像上は断裂が確認されなかった28例を対象に、複数の臨床検査が検討されています。
下腿三頭筋を圧迫する検査、つまりトンプソンテストは、感度0.96、特異度0.93と高い診断精度を示しています。
この結果から、トンプソンテストはアキレス腱断裂を疑ううえで重要な検査として位置づけられます。
The clinical diagnosis of subcutaneous tear of the Achilles tendon. A prospective study in 174 patients
Maffulli N
トンプソンテストと画像評価の位置づけ
この論文では、アキレス腱断裂の診断と経過観察における画像検査の役割が検討されています。対象となった56本の研究では、超音波またはMRIを扱ったものが中心であり、画像検査はアキレス腱の構造や治癒過程を可視化する方法として有用とされています。
一方で、画像結果と臨床像との関係は十分に示されていたわけではありません。
全体として、アキレス腱断裂の診断と経過観察ではMRIよりも超音波が推奨されており、まず臨床検査と評価を中心に判断し、画像検査は他の損傷を除外する場合や追加の臨床情報が必要な場面で用いることが推奨されています。
Imaging modalities in the diagnosis and monitoring of Achilles tendon ruptures: A systematic review
Dams OC, Reininga IHF, Gielen JL, van den Akker-Scheek I, Zwerver J
結論
トンプソンテストは、アキレス腱を介した力の伝達を確認するシンプルな整形外科的テストです。
下腿三頭筋を圧迫しても足関節底屈が明確に起こらない場合、アキレス腱断裂、とくに急性の完全断裂を疑う重要な手がかりになります。
診断精度研究でも高い感度と特異度が示されており、臨床上の有用性は高い検査です。
一方で、この検査だけで断裂の位置や範囲、部分断裂の有無まで判断できるわけではありません。
トンプソンテストの結果は、受傷、触診、ほかの臨床検査とあわせて解釈し、必要に応じて超音波などの画像評価を併用することが重要です。
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