肩甲上神経絞扼障害とは何か|肩後上方部痛・外旋筋力低下を末梢神経から再考する

肩甲上神経
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肩甲上神経絞扼障害とは何か|基本像を確認する

肩甲上神経絞扼障害では、肩後上方部の痛みや筋力低下がみられます。

肩甲上神経は棘上筋と棘下筋を支配し、肩関節外転初期や外旋に関わります。

肩甲切痕や棘下切痕周囲は重要な評価部位であり、この神経の異常では、肩関節外転や外旋で違和感が強まり、外旋筋力低下として現れることがあります。

整形外科領域では、こうした症状は腱板損傷や肩インピンジメント症候群として理解されやすく、肩甲上神経絞扼障害は見落とされやすい傾向があります。

肩甲上神経絞扼障害の研究知見|肩甲上神経障害は肩の痛みと筋力低下の原因となる

この論文では、肩甲上神経障害は、肩の上後外側の痛みや筋力低下を生じる末梢神経障害として認識すべきだと述べています。

とくに、オーバーヘッド動作を繰り返すアスリート、広範囲の回旋筋腱板断裂、ガングリオンなどでは、肩甲上切痕や棘窩切痕での圧迫や牽引が関与する可能性があります。

また、症状は他の肩関節疾患や神経根症と似るため、病歴や身体所見だけで判断せず、MRIなどの画像評価と筋電図を組み合わせて診断することが重要だとされています。

Suprascapular Neuropathy around the Shoulder. Bozzi F, et al.

別の論文では、肩甲上神経絞扼症候群は見落とされやすい肩痛の原因として整理されています。

特徴的なのは、肩後外側の深く鈍い痛みや筋力低下で、頚部や上腕へ放散することもあります。一方で、しびれを前面に出した疾患というより、肩の深部痛や機能低下として現れやすい病態です。

画像や筋電図が明確な異常がでない場合もあるため、回旋筋腱板損傷や頚椎由来だけで説明できない肩痛では、肩甲上神経の関与を考える必要があります。

Treatment of suprascapular nerve entrapment syndrome. Leider JD, et al.

▶︎ 末梢神経とは何か

肩甲上神経絞扼障害はなぜ見落とされるのか|画像所見だけで原因は決められない

肩の痛みや筋力低下では、腱板や肩峰下組織の異常が疑われやすく、画像診断でも腱板断裂、関節唇損傷、インピンジメント関連所見などが確認されます。

しかし、こうした構造変性と症状との相関性は高くなく、画像所見だけで原因を決めることはできません。

そのため、画像所見だけを根拠にすると、肩甲上神経などの末梢神経由来の症状は候補から外れてしまいます。

▶︎ 腱板損傷をどう再考するのか

▶︎ 肩の画像所見と痛みは一致するのか

▶︎ フローズンショルダーをどう再考するのか

▶︎ 頚部痛と画像所見をどう考えるのか

肩後上方部痛・外旋筋力低下を末梢神経からどうみるか|肩甲上神経の分布から読み直す

肩後上方部痛を末梢神経からみるときに重要なのは、症状分布と動作による変化です。

肩甲骨上部から肩後上方部にかけて痛みがあり、外転初期や外旋で筋出力の低下がみられる場合は、肩甲上神経が考えられます。

さらに、反復する挙上動作や外旋、オーバーヘッド動作、肩甲切痕周囲や棘下切痕周囲での圧迫で、痛みや筋出力がどう変化するのかを確認することで、考慮すべき部位は絞られます。

▶︎ 肩甲上神経とは何か

▶︎ 肩や上肢の症状からみる末梢神経とは何か

結論

肩甲上神経絞扼障害では、肩後上方部痛や外旋筋力低下を腱板やヘルニア由来だけで説明すると見落としが生じます。

画像所見だけに依存せず、肩甲上神経の分布と動作での変化、棘上筋・棘下筋の筋出力をあわせてみることが重要です。

 


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