回外筋症候群とは何か|基本像を確認する
回外筋症候群は、橈骨神経深枝から後骨間神経へ移行する近位前腕で、神経が圧迫されて生じる病態です。
主な症状は、肘外側から前腕外側にかけての痛みです。
とくに、前腕の回内や回外、把持、抵抗を加えた中指伸展で痛みが誘発されることがあります。
圧迫部位としては、回外筋近位部の線維性アーチであるフロセのアーケードなどが知られています。
同じ領域の神経障害である後骨間神経麻痺と近い部位に生じますが、回外筋症候群では明らかな運動麻痺が前面に出にくい点が異なります。
また、前腕外側痛はテニス肘(上腕骨外側上顆炎)と間違われやすく、圧痛点の位置や誘発動作の違いをみることが重要です。
整形外科領域では、こうした前腕外側痛は外側上顆炎として解釈されやすく、回外筋症候群は見落とされやすい傾向があります。
回外筋症候群の研究知見|橈骨神経深枝周囲の絞扼は前腕外側痛の原因となる
この論文では、橈骨神経トンネルは橈骨頭から回外筋の下縁まで続く解剖学的な通路であり、その中で橈骨神経は、橈骨頭部、橈骨反回血管、短橈側手根伸筋の線維縁、フローゼのアーケード(回外筋近位)、回外筋遠位端の5か所で圧迫されうると説明しています。
なかでも、最も一般的な圧迫部位は回外筋近位のフローゼのアーケードです。
また、圧痛は外側上顆そのものではなく、そのやや遠位にある橈骨神経管上にみられるとされており、外側上顆炎との鑑別に重要です。
さらに、肘の伸展、前腕の回内、手関節の屈曲で痛みが増悪しやすく、抵抗をかけた回外や手関節伸展でも症状が誘発されることがあります。
下記文献では、後骨間神経は橈骨神経管を通過する過程で圧迫されうるとされ、圧迫部位として回外筋近位のフローゼのアーケードや回外筋遠位縁が挙げられています。
つまり、回外筋周囲は後骨間神経にとって機械的負荷が集中しやすい部位であり、回外筋症候群を考えるうえでも重要な解剖学的ポイントになります。
また、痛みが中心で明らかな筋力低下を伴わない場合は橈骨神経管症候群として扱われ、手指伸展の筋力低下など運動障害が目立つ場合は、より強い後骨間神経の圧迫として区別されます。
回外筋症候群はなぜ見落とされるのか|絞扼部位を一点だけで決められない
前腕外側痛では、外側上顆炎、頚椎由来の問題、関節周囲の所見が疑われやすく、画像診断でもさまざまな構造所見が確認されることがあります。
しかし、こうした所見だけで症状の原因を決めることはできません。
また、回外筋症候群では、最大圧痛点が外側上顆そのものではなく、やや遠位にあることがあります。
さらに、フロセのアーケードが代表的な部位として挙げられる一方で、より近位の部位や回外筋遠位縁まで含めて考える必要があります。
そのため、画像だけでなく、圧痛点の位置、誘発動作、痛みの分布をあわせて読む必要があります。
前腕外側痛を末梢神経からどうみるか|後骨間神経麻痺との違いも含めて読む
前腕外側痛を末梢神経からみるときに重要なのは、痛みが主なのか、運動麻痺が主なのかを分けることです。
外側上顆のやや遠位に圧痛があり、回内と回外、抵抗を加えた中指伸展、把持で痛みが誘発されるなら、回外筋症候群を考えます。
ここでみている中指伸展は、主に総指伸筋の反応を利用した誘発であり、橈骨神経深枝から後骨間神経近位部への負荷をみる補助所見として位置づけられます。
一方で、手指伸展や母指伸展の低下がはっきりしているなら、同じ領域の障害でも後骨間神経麻痺の可能性が高くなります。
さらに、圧痛部位がより近位なのか、フロセのアーケード周囲なのかをみることで、絞扼部位の推定は変わります。
回外筋症候群では、筋力低下があっても痛みによる二次的な反応なのか、神経麻痺なのかを分けて考える必要があります。
結論
回外筋症候群では、前腕外側痛を外側上顆炎だけで説明すると見落としが生じます。
また、絞扼部位も回外筋入口だけに限らず、近位前腕の複数の圧迫候補部位を考える必要があります。
画像所見だけで判断せず、圧痛点、誘発動作、運動麻痺の有無をあわせてみることが重要です。
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