立位姿勢での評価は再現性が低く不必要な治療に繋がり得る。
評価の一つとして、立位での静止姿勢をみるという事はよくあります。
しかし、その一時的な立位姿勢というのは、本当に正しい姿勢評価につながるのでしょうか?
◆立位姿勢は毎回変動するという研究
353人(痛みのない人と腰痛がある人)に対して直立姿勢を6回取らせたという研究です。
「再現性のない直立姿勢は、放射線測定の誤った解釈、誤った診断、そしておそらく不必要な治療につながる可能性がある。
全ての無症状被験者の53%が、仙骨の方向において20%を越える変動を示し、被験者の31%が30%を越える変動を明らかにした。
立位は非常に固有性があり、再現性が低いと結論付けることができる。
行われた立位相の数は、再現性にポジティブな影響を示さなかった。
したがって、立位の変動性は予測可能ではなくランダムである。例えば立位相を反復することで軽減できる個々の特定の行動パターンを反映していない。
腰痛患者の腰椎前弯は無症候性の被験者と有意差はなかった。
立位における仙骨の向きおよび腰椎前弯は非常に変わりやすいこと(個々)が実証された。したがって、立位での被験者/患者に1つの「正常な前弯」または「正常な仙骨の向き」を期待するのは不合理である。
腰痛患者と運動選手は無症状の運動選手とは異なる行動を示さなかった。
How do we stand?Variations during repeated standing phases of asymptomatic subjects and low back pain patients.Hendrik Schmidt, Maxim Bashkuev, Jeronimo Weerts, Friedmar Graichen, JoernAltenscheidt, Christoph Maier, Sandra Reitmaier
◆まとめ
これらのことから、
・立位姿勢を何度か行わせると毎回異なる腰椎前腕角度と仙骨の角度になる。
・腰痛患者であっても無症状被験者であっても変動性は変わらなかった。
・腰椎前腕角度と仙骨の向きは非常に変化しやすい。
「再現性のない直立姿勢は、放射線測定の誤った解釈、誤った診断、そしておそらく不必要な治療につながる可能性がある。」
ということが分かります。
◆考察
つまり、立位での姿勢評価は、評価法として適切ではない可能性が高いということです。
静止姿勢はそこまで重要視しないほうがいいというのが、サイエンスとエビデンスからの答えです。
構造や姿勢に対するアプローチの限界が今示されています。