スパーリングテストとは何か|ジャクソンテストも含めて整形外科的テストを吟味する

整形外科的テストDNM
目次

スパーリングテストとは何か

スパーリングテストは、頚部を患側へ側屈し、頚椎伸展と回旋を加えたうえで軸圧を加え、上肢へ放散する痛みやしびれが再現されるかをみる検査です。

重要なのは、頚部の局所痛ではなく、上肢への放散痛やしびれが再現されるかどうかです。

主に考えるべきなのは、椎間孔周囲における頚神経根周囲の負荷変化です。

そのため、スパーリングテストは頚神経根症を示唆する整形外科的テストとして位置づけられます。

ただし、陽性所見は頚神経根症を直接証明するものではなく、腕神経叢や末梢神経の症状分布と重なることがあります。

したがって、スパーリングテストは、頚部近位の神経系が上肢症状に関与している可能性をみる補助的な視点として理解する必要があります。

▶︎腕神経叢とは何か

ジャクソンテストとは何か

ジャクソンテストは、頚部を伸展位に近づけた状態で頭頂部から軸圧を加え、頚部痛や上肢症状が再現されるかをみる検査です。

日本の臨床や教科書ではスパーリングテストと並べて紹介されることがありますが、頚神経根症の診断研究ではスパーリングテストの方が中心的に扱われています。

また、ジャクソンテストは側屈や回旋を明確に組み合わせない説明が多く、症状側の椎間孔周囲に負荷を集めるという点では、スパーリングテストの方が明確です。

どの神経を視野に入れるべきか

まず考えるべきなのは、C5〜C8を中心とした頚神経根です。

ただし、実際の臨床では症状が神経根だけで完結するとは限りません。

神経根から腕神経叢へつながり、その先で筋皮神経、正中神経、尺骨神経、橈骨神経、腋窩神経などへ分かれていくため、上肢症状は末梢神経の分布に似た形で現れることがあります。

たとえば、上腕前面から前腕外側へ続く訴えでは筋皮神経系、前腕掌側から母指側では正中神経系、環指尺側から小指では尺骨神経系、上腕後面から前腕後面や手背では橈骨神経系も視野に入ります。

そのため、スパーリングテストやジャクソンテストが陽性でも、頚神経根症だけで説明できるとは限りません。

腕神経叢周囲、末梢神経の走行まで含めて鑑別する必要があります。

▶︎肩や上肢の症状からみる末梢神経

▶︎胸郭出口症候群をどう再考するのか

画像所見と一致するのか

スパーリングテストやジャクソンテストは、MRIやCTでみえる形態異常と常に一致するわけではありません。

頚椎MRIでは、椎間板膨隆、椎間孔狭窄などがみられても無症状のことがあります。反対に、上肢症状があっても画像で明確な異常が捉えられないこともあります。

そのため、画像異常があるから徒手検査が陽性になるわけでも、徒手検査が陽性だから画像で必ず異常がみえるわけでもありません。

▶︎ストレートネックと首の痛み|MRI異常は原因なのか

▶︎頚椎症をどう再考するのか

研究ではどう評価されているのか

この研究では、上肢の神経障害が疑われた患者様を対象に、スパーリングテストの感度と特異度が検討されています。

結果として、感度は30%、特異度は93%でした。

つまり、この検査は頚神経根症を広く見つけるスクリーニングには向きませんが、陽性になった場合には頚神経根症の可能性を高める所見として読めます。

特に重要なのは、陽性所見の条件が、単なる頚部痛ではなく、肩から始まり肘より遠位へ広がる痛みやしびれだった点です。この条件を踏まえると、臨床では「首が痛いか」ではなく、「上肢へ放散する症状が再現されるか」を確認する必要があります。

したがって、この論文は、除外目的ではなく、頚神経根症を疑う場面で陽性所見の意味を強める検査として位置づける研究といえます。

The Spurling test and cervical radiculopathy

H. C. Tong, A. J. Haig, K. Yamakawa

結論

スパーリングテストは、頚部での圧縮負荷によって上肢症状が再現されるかをみる検査です。

陽性所見は頚神経根症を示唆する材料になりますが、腕神経叢や末梢神経の分布とも重なるため、頚神経根だけの問題とは断定できません。

ジャクソンテストも近い系統の検査ですが、現在の診断研究ではスパーリングテストの方が中心的に扱われています。

この検査は単独で診断を決めるものではなく、症状分布、感覚異常、筋力、腱反射、画像所見、他の神経テストと合わせて、どの神経レベルを追加で評価するかを考えるための検査として位置づけるのが適切です。

▶︎ 整形外科的テストを吟味するとは何か


関連コラム|クリティカルシンキングの理解を深める

▶︎ クリティカルシンキングとは何か

▶︎ 臨床概念一覧とは何か

▶︎ 臨床推論を吟味するとは何か

神経科学に基づく徒手療法を学ぶ

SNSでのコラムのシェアは歓迎しております。ただし当サイト内の文章・オリジナル画像等の無断転載、無断転用はご遠慮ください。

整形外科的テストDNM

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
目次