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サイレント侵害受容器は炎症に反応し、ヒトの皮膚にも存在する。

サイレント侵害受容器は炎症に反応し、
ヒトの皮膚にも存在する。

侵害受容器という神経線維の存在は有名ですが、その中には普段は静かに過ごしていて、炎症が起こったときだけ反応する侵害受容線維があります。

その名も「サイレント侵害受容器」です。

◆研究

通常の条件下では有害な機械的刺激に鈍感であるが、炎症性メディエーターである神経成長因子(NGF)にさらされるとそのような刺激に感作されるペプチド作動性C線維侵害受容器のグループを特定した。

驚くべきことに、NGFは他の侵害受容器の機械受容性に影響を与えなかった。

サイレント侵害受容器は、膀胱、遠位結腸、膝関節で多数見つかっているが、げっ歯類の皮膚ではまれである。

しかし、人間の皮膚では、サイレント求心性神経がすべてのC線維侵害受容器のほぼ4分の1を占めている。

サイレント侵害受容器は通常、機械的刺激によって活性化されないという事実は、健康な個人の機械的疼痛シグナル伝達に関与していないことを示唆している。

ただし、いくつかの研究では、サイレント求心性神経が神経成長因子(NGF)のような内因性の炎症性メディエーターだけでなく、実験的に炎症を誘発するために一般的に使用されているさまざまな化合物によっても、機械的刺激に対して感作されることが示されている。

上記の組織には機械的に鈍感な求心性神経が多く存在することを考えると、それらのサイレント化を解除することで、脊髄や高次脳領域の疼痛処理回路への侵害受容入力が大幅に増加すると考えられる。

したがって、サイレント求心性神経が炎症時の機械的痛覚過敏に大きく寄与している可能性が示唆されている。

機械感受性の無いCHRNA3 +求心性神経が、結腸、膀胱、膝関節、筋肉のペプチド作動性侵害受容器の約50%を占めるという我々の観察は、以前の電気生理学的研究と一致している。

その結果、C線維侵害受容器におけるサイレント求心性神経の割合は、これらの組織で30〜90%であることが分かった。

人間やサルの皮神経にもサイレント求心性神経が多数(〜25%)発見されているが、マウスの皮膚では非常に稀なようである(C線維侵害受容器全体の10%未満)。

…我々は、サイレント皮膚求心性神経は、内臓や深部体組織を支配するものとは遺伝的に異なることが示唆された。

Genetic identification of mechanoinsensitive ‘silent’ nociceptors”
Vincenzo Prato, Francisco J. Taberner, James R.F. Hockley, Gerard Callejo, Alice Arcourt, Bassim Tazir, Leoni Hammer, Paulina Schad, Paul A. Heppenstall, Ewan St. John Smith, and Stefan G. Lechner

◆まとめ

これらのことから、普段は静かにしていて炎症時に活性化する特殊なサイレント侵害受容器が存在することがわかります。

またヒトの筋肉や皮膚にもあり、皮膚の場合は、そのC線維の1/4も占めていると言われています。

つまり、皮神経のC線維にも意外と多くのサイレント侵害受容器が含まれているということです。

さてこういった普段静かな侵害受容器ですが、何も仕事をしていないわけではありません。

その仕事とはいったい?

次回、侵害受容線維のお仕事についてコラムでお伝えします。

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