肩引き下げテストとは何か|イートンテストも含めて整形外科的テストを吟味する

整形外科的テストDNM
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肩引き下げテストとは何か

肩引き下げテストは、頚部を健側へ側屈し、患側の肩甲帯を下方へ引き下げたときに、上肢への放散痛やしびれが再現されるかをみる検査です。

この検査の狙いは、頚部と肩甲帯の間に長さ変化をつくり、頚神経根から腕神経叢、さらに上肢へ続く神経系に牽引ストレスを加えたとき、症状が誘発されるかを確認することです。

近い系統の検査として、イートンテストがあります。

イートンテストは、頚部を健側へ側屈したうえで、患側上肢を後下方へ牽引する形で行われることが多く、肩引き下げテストより上肢全体への牽引要素が強くなります。

ただし、両者の臨床的な狙いは近く、いずれも頚神経根、腕神経叢、胸郭出口周囲、末梢神経へ連なる神経系の機械的感受性をみる検査として理解できます。

したがって、この検査は神経そのものの形態異常や、ヘルニア、椎間孔狭窄、頚椎症、椎間関節の異常を直接みる検査ではありません。

陽性所見は、頚部から上肢へ続く神経系が牽引ストレスに反応している可能性を示すものであり、症状分布、感覚異常、筋力、腱反射、他の神経テストと合わせて解釈する必要があります。

肩引き下げテストで考えたい神経系

まず候補に入るのは、C5〜T1の頚神経根と、それに続く腕神経叢です。

そこから筋皮神経、正中神経、尺骨神経、橈骨神経、腋窩神経などへ分かれていくため、検査の解釈では、誘発された症状がどの分布に近いかを丁寧に照合する必要があります。

また、頚神経根や腕神経叢だけでなく、斜角筋間隙、肋鎖間隙、小胸筋下など、胸郭出口周囲の通過部も含めて考える必要があります。

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肩引き下げテストと画像所見のズレ

肩引き下げテストは、MRIやX線でみえる形態異常と常に一致するわけではありません。

頚椎MRIで椎間板ヘルニア、椎間孔狭窄、骨棘形成、頚椎症性変化がみられても、上肢症状と一致するとは限りません。反対に、症状があっても画像で明確な異常が捉えられないこともあります。

そのため、画像で狭窄やヘルニアがみえたという事実だけで、今ある上肢症状やこの検査の陽性所見を一対一で説明することはできません。

肩引き下げテストは、ヘルニアや狭窄を直接みる検査ではなく、画像所見も含めた背景のなかで、頚部から上肢へ続く神経系の症状が再現されるかをみる検査として理解する方が適切です。

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肩引き下げテストの診断精度をどう読むか

頚部の誘発テストに関する研究では、スパーリングテストや頚椎牽引テストに比べると、肩引き下げテストやイートンテストそのものの研究は多くありません。

この研究では、肩引き下げテストも検索対象に含まれていましたが、この検査の診断精度を検討した研究は確認できなかったとされています。

この点から、肩引き下げテストは臨床で用いられる検査であっても、頚神経根症を単独で判断できる検査とはいえません。

頚神経根から腕神経叢へ続く神経系が牽引ストレスに反応するかをみる、補助的な視点として読むのが妥当です。

A systematic review of the diagnostic accuracy of provocative tests of the neck for diagnosing cervical radiculopathy

Sidney M. Rubinstein, Jan J.H. Pool, Maurits W. van Tulder, Inge I. Riphagen, Henrica C.W. de Vet

▶︎腕神経叢とは何か

結論

肩引き下げテストは、頚神経根から腕神経叢、さらに上肢へ続く神経系が、牽引ストレスに反応するかをみる検査です。

陽性所見は、頚部から上肢へ続く神経系の関与を考える材料になりますが、ヘルニア、椎間孔狭窄、頚椎症、椎間関節の異常を直接示すものではありません。

また、肩引き下げテストやイートンテストは、診断精度を直接支える研究が十分とはいえず、単独で頚神経根症を判断する検査としては扱えません。

そのため、症状分布、感覚異常、筋力、腱反射、胸郭出口周囲の通過部、画像所見などと合わせて、どの神経レベルを追加で評価するかを考える検査として位置づけることが重要です。

▶︎ 整形外科的テストを吟味するとは何か


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