感覚リハビリテーションと運動リハビリテーション|疼痛による防御反応と神経科学

ペインサイエンス
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感覚リハビリテーションと運動リハビリテーション

慢性疼痛の臨床では、姿勢や動きの変化がみられます。

こうした変化は、筋力低下や関節機能の問題だけでなく、痛みに対する神経系の防御反応として理解できます。

そのためリハビリテーションでは、運動機能の回復だけでなく、身体がどのような感覚入力を受け取り、どのような出力を生み出しているかをみる視点が重要です。

▶︎ ペインサイエンスとは何か

鎮痛姿勢は防御反応の一つ

痛みがあると、人は無意識のうちに姿勢を変えることがあります。

これは痛みを避けるための適応であり、鎮痛姿勢として現れることがあります。

筋緊張の増加、動作の回避、関節可動域の低下も、こうした防御反応の一部です。

重要なのは、このような変化が必ずしも組織損傷の大きさと一致しないことです。

神経系が危険を大きく認識していると、身体は守る方向へ出力を変え、動きを制限します。

▶︎ 逃避反射と筋肉のこりとは何か

安全と安心できる条件が動きの前提になる

神経系は、身体の状態を常に評価しています。

危険が大きく認識されていると、防御反応は維持され、動きにくさや過剰な緊張も続きます。

反対に、身体が安心と解釈しやすい感覚入力が入ると、防御的な出力は下がり、可動域や姿勢も変化します。

疼痛が強い患者様では、まず身体が受け入れやすい安心できる条件を整えることが重要です。

▶︎ 神経系の出力とは何か

運動リハビリテーションは機能回復の中核である

運動リハビリテーションは、関節運動、筋活動、運動制御、身体機能の回復を目的とした重要な方法です。

慢性疼痛においても、運動療法は回復や自己効力感の再構築に大きく関わります。

一方で、疼痛が強い時期には、患者様にとって運動そのものが脅威として受け取られることがあります。

その状態で運動だけを強く押し付けると、防御反応がさらに高まることがあります。

だからこそ、運動の前に身体が安心できる状態をつくる視点が必要です。

▶︎ 運動と鎮痛の関係性とは何か

感覚リハビリテーションは防御反応を変える入口になる

身体感覚は、神経系が身体の状態を把握するための基礎情報です。

そのため、身体への感覚入力を変えることは、神経系の反応を変える入口になります。

DNM創始者のDiane Jacobsは次のように述べています。

「ゆっくりとした相互作用的な徒手療法は、シンプルな感覚リハビリテーションだと言える。
それは運動リハビリテーションと共存することができ、先行すべきである。」Diane Jacobs

この視点では、徒手療法は組織を変えるためのものではなく、神経系を変化させる行為だと理解できます。

つまり感覚リハビリテーション、優しい徒手療法は、運動に先立って防御反応を落ち着かせる役割を持ちます。

▶︎ CT線維とオキシトシンとは何か

結論

感覚リハビリテーションと運動リハビリテーションは、対立するものではありません。

疼痛が強い時期には、まず感覚入力を通して、疼痛や神経系の防御反応を下げ、その後に運動へつなげるほうが自然です。

防御反応が落ち着いた段階では、運動リハビリテーションによって身体機能や活動性の回復を進めていきます。

大切なのは、どちらか一方を選ぶことではなく、患者様の状態に応じて順序と比重を調整することです。

痛みの臨床で重要なのは、身体を無理に変えようとすることではなく、神経系が動いても大丈夫だと学習できる条件を整えることです。


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