学生が知っておくべきシリーズ
本記事は「学生が知っておくべきシリーズ」の一部です。
理学療法士、柔道整復師、鍼灸師など医療系国家資格を目指す学生に向けて、臨床で重要になる神経科学やペインサイエンスの考え方を整理しています。
国家試験の勉強だけでは理解しにくい臨床の視点を、できるだけわかりやすく解説します。
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感作とは何か
感作(sensitization)とは、神経系の感受性が高まる現象を指します。
通常であれば問題にならない刺激でも、痛みとして感じやすくなることがあります。
感作は一般的に末梢性感作と中枢性感作に分けて説明されます。
末梢性感作
末梢性感作とは、侵害受容器の感受性が高まる現象です。
炎症や組織損傷などが存在すると、侵害受容器の反応が変化することがあります。その結果、同じ刺激に対して反応が強くなり、痛みが生じやすくなる状態が起こることがあります。
中枢性感作
中枢性感作とは、脊髄や脳などの中枢神経において感受性が高まる現象です。
中枢性感作が起こると、痛覚過敏やアロディニアなどの現象が生じることがあります。このような神経系の変化は、慢性疼痛と関連する可能性があります。
慢性疼痛では両方が関与する可能性
実際の慢性疼痛では、末梢性感作と中枢性感作のどちらか一方だけではなく、両方が関与している可能性があります。
末梢からの侵害受容入力が持続すると、脊髄や脳での情報処理にも変化が起こることがあります。
つまり、末梢神経の状態と入力と中枢神経の情報処理の相互作用の中で、痛みが持続する可能性があります。
神経系の感受性
感作は、神経系の可塑的な変化として理解されています。
つまり神経系は固定されたシステムではなく、刺激や経験によって反応が変化する可能性があります。この神経系の感受性の変化は、慢性的な痛みの理解において重要な概念です。
徒手療法との関係
徒手療法では、皮膚や身体への触覚刺激が神経系へ入力されます。
このような感覚入力は神経系の反応や感覚処理に影響を与える可能性があります。そのため徒手療法では、神経系の感受性を観察しながらアプローチを行うことが重要になります。
徒手療法の目的
慢性疼痛の臨床では、神経系の感受性が高まっている可能性があります。
そのため徒手療法では神経系の感作を減らすことを目標の一つとして考えることができます。
つまり徒手療法は、強い刺激で組織を変える、構造を直接変えるという考え方ではなく、神経系の反応を調整するアプローチとして理解することができます。
学生のうちに知っておく意味
医療教育では、組織損傷や炎症などの構造的な視点で症状を理解することが多くあります。
しかし慢性疼痛では、神経系の感受性の変化が関係している可能性があります。学生のうちから感作の概念を理解しておくことで、痛みをより広い視点で理解することができます。
結論
感作とは神経系の感受性が高まる現象です。
末梢性感作と中枢性感作は、痛みの感じ方を変化させる要因となる可能性があります。
慢性疼痛では両方が関与している可能性があり、末梢神経の状態と入力と中枢神経の情報処理の相互作用が重要になります。
徒手療法では、このような神経系の感作を減らすことを目標の一つとして考えることができます。
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