四辺形間隙症候群とは何か|基本像を確認する
四辺形間隙とは、小円筋、大円筋、上腕三頭筋長頭、上腕骨外科頚で囲まれる、肩後方の神経の出口点です。
この部位で腋窩神経や後上腕回旋動脈が圧迫されることで、神経の分布領域や、その感覚枝である外側上腕皮神経(三角筋周囲)領域に痛みやしびれが生じます。
腋窩神経の運動枝は、三角筋、小円筋を支配し、肩外転や外旋などに関わります。
そのため、この神経の異常では、肩後外側部の痛みやしびれだけでなく、腕を挙げる動きや外旋動作で違和感が強まることがあります。
整形外科領域では、こうした訴えは腱板障害や頚椎神経根症が原因だと考えられることが多く、四辺形間隙症候群は見落とされやすい傾向があります。
四辺形間隙症候群の研究知見|外側上腕皮神経領域の症状は肩後外側の痛みやしびれの原因となる
この論文では、とくに肩関節の外転や外旋、あるいは前方挙上で症状が強まり、四角間隙後方に圧痛がみられることが、重要な手がかりになるとされています。
画像評価としては、腕を外転・外旋した肢位で上腕骨後回旋動脈の閉塞を確認する動脈造影が診断に用いられ、保存的治療で改善しない場合には外科的減圧術が検討されます。
別の研究では、四角間隙症候群は、若年で活動性の高い成人にみられる神経血管圧迫症候群として述べられています。
病態の中心になるのは、四角間隙を通過する後上腕回旋動脈と腋窩神経を含む神経血管束への圧迫ですが、実際の症状には血流低下そのものより、腋窩神経の圧迫が強く関わるとされています。
一方で、臨床症状は曖昧で特異性に乏しいため、肩の痛みや機能障害を他の肩関節疾患だけで説明せず、この病態を候補に入れて評価する視点が重要です。
四辺形間隙症候群はなぜ見落とされるのか|画像所見だけで原因は決められない
肩後外側部の痛みやしびれでは、腱板の異常や滑液包の異常が疑われやすく、画像診断でも腱板変性や部分断裂などが確認されます。
しかし、こうした構造変性と症状との相関性は高くなく、画像所見だけで原因を決めることはできません。
そのため、末梢神経の分布や動作による変化をみないままでは、四辺形間隙部の問題は候補から外れてしまいます。
肩後外側痛・しびれを末梢神経からどうみるか|腋窩神経と外側上腕皮神経の分布から読み直す
肩後外側痛、しびれを末梢神経からみるときに重要なのは、症状分布と動作による変化です。
三角筋後面から肩後外側にかけての症状なら腋窩神経、肩外側表層の感覚異常が中心なら外側上腕皮神経というように、分布を知ることで見立ては変わります。
さらに、肩外転や外旋の反復動作、挙上位の保持、四辺形間隙部や腋窩後方部の圧迫で、痛みやしびれがどう変化するのかを確認することで、考慮すべき部位は絞られます。
腋窩神経は感覚だけでなく、三角筋や小円筋の働きにも関わるため、分布だけでなく筋出力の変化もあわせてみる必要があります。
結論
四辺形間隙症候群では、肩後外側痛やしびれを腱板障害だけで説明すると見落としが生じます。
画像所見だけに依存せず、症状分布と動作による変化、三角筋や小円筋の反応をあわせてみることが重要です。
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