後骨間神経麻痺とは何か|手指伸展障害を橈骨神経から再考する

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後骨間神経麻痺とは何か|基本像を確認する

後骨間神経麻痺は、橈骨神経深枝が回外筋のフローセのアーケードを通過する部位などで圧迫され、後骨間神経が障害される病態です。

後骨間神経は運動神経であり、手指伸筋群や母指伸筋群の働きに関わります。

そのため、後骨間神経麻痺では、しびれよりも、手指や母指の伸展がしにくいといった運動障害が中心になります。

同じ近位前腕の橈骨神経系のトラブルである回外筋症候群と圧迫部位が一部共通しますが、後骨間神経麻痺では、痛みより運動麻痺が目立つ点が大きな違いです。

整形外科領域では、こうした所見は伸筋腱断裂、外側上顆炎、頚椎神経根症などとして捉えられることがあり、末梢神経障害として評価から外れやすい傾向があります。

後骨間神経麻痺の研究知見|後骨間神経障害は手指伸展障害の原因となる

この論文では、後骨間神経障害と橈骨トンネル症候群は、圧迫部位が一部共通する一方で、症状の出方に違いがあることが示されています。

後骨間神経障害では、手指伸展障害や母指伸展障害といった運動障害が中心になります。

これに対して橈骨トンネル症候群では、前腕外側から背側にかけた痛みが主体であり、外側上顆よりやや遠位、約3〜5cm遠位に圧痛を認めることがあります。

そのため、圧痛が目立つのか、それとも指や母指の伸展障害が目立つのかをみることは、両者を判別するうえで重要です。

Posterior Interosseous Nerve Syndrome. Wheeler R, Murthi A.

この症例報告では、フローセのアーケード部のガングリオンが後骨間神経を圧迫し、後骨間神経麻痺を生じた例が示されています。

症例では、手関節伸展は保たれる一方で、母指を含む手指伸展障害がみられました。

MRIで回外筋近位の嚢胞性病変が確認され、手術で切除した結果、術後1か月で麻痺は完全に改善しました。

この報告は、後骨間神経麻痺の背景に、フローセのアーケード部の占拠性病変が関与することがあると示しています。

Posterior Interosseous Nerve Palsy Caused by a Ganglion of the Arcade of Frohse. Lee SJ, Kim JH, Waryasz GR.

▶︎ 末梢神経とは何か

後骨間神経麻痺はなぜ見落とされるのか|痛みより運動所見が重要になる

手指伸展障害では、腱障害や中枢神経疾患、頚椎由来の問題が疑われやすく、画像診断でもさまざまな所見が確認されることがあります。

しかし、そうした所見だけで症状の原因を決めることはできません。

後骨間神経麻痺では、フローセのアーケードが代表的な絞扼部位ですが、回外筋周囲の線維性組織やガングリオンなどが関与することもあります。

そのため、画像をみる場合でも、どの筋に麻痺があるのか、どの動きが低下しているのかを先に確認することが重要です。

▶︎ 画像と痛みの関係をどう考えるか

▶︎ 脊柱MRI異常と痛みをどうみるか

▶︎ 頚椎症をどう再考するのか

手指伸展障害を末梢神経からどうみるか|回外筋症候群との違いも含めて読む

手指伸展障害を末梢神経からみるときに重要なのは、痛みの有無だけでなく、どの伸展機能が低下しているかをみることです。

手指伸展や母指伸展が低下し、しびれが目立たないなら、後骨間神経麻痺を考えます。

一方で、明らかな筋力低下より前腕外側痛が主で、抵抗を加えた回外や中指伸展で痛みが誘発されるなら、回外筋症候群の可能性が高くなります。

後骨間神経麻痺では、痛みの分布よりも、手指伸筋群と母指伸筋群の出力低下をどうみるかが見立ての中心になります。

▶︎ 橈骨神経とは何か

結論

後骨間神経麻痺では、手指伸展障害を腱障害や手指そのものの運動器トラブルだけで説明すると見落としが生じます。

回外筋症候群と圧迫部位が一部共通していても、後骨間神経麻痺では運動麻痺が主である点が重要です。

また、フローセのアーケードや局所の占拠性病変を含めて評価し、画像所見だけでなく、手指伸展、母指伸展、手関節伸展の保たれ方、圧痛や痛みの出方をあわせてみる必要があります。

 


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