パトリックテストとは何か|整形外科的テストを吟味する

整形外科的テストDNM
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パトリックテストとは何か

パトリックテストは、患者様を背臥位にし、検査側の股関節と膝を屈曲させた状態から、股関節を外転・外旋位に導き、鼠径部、股関節前面、殿部、仙腸関節周囲などの症状を確認する整形外科的テストです。

一般的には、検査側の足部を対側の大腿の上に置き、骨盤を安定させながら、検査側の膝をベッド方向へ押します。このとき、可動域の制限、痛みや違和感があれば陽性と解釈されます。

鼠径部や股関節前面に痛みが出る場合は、股関節由来の症状を考えます。

殿部や仙腸関節周囲に痛みが出る場合は、仙腸関節領域や骨盤後面の組織との関係を考えます。

パトリックテストの診断精度と解釈の限界

パトリックテストの陽性所見だけでは、股関節関、仙腸関節の異常を判断することはできません。

仙腸関節の動きをX線立体写真測量法で調べた下記の研究では、立位股関節屈曲テスト中の仙腸関節運動は非常に小さく、平均回旋は約0.2度、平均移動量は約0.3mmと報告されています。

また、左右の仙腸関節の動きはほぼ同程度で、著者らは、この検査中に左右の腸骨は仙骨に対して別々に大きく動くのではなく、ひとつのユニットのように振る舞うと述べています。

そのため、立位股関節屈曲テストによって仙腸関節の左右差や可動性を徒手的に判定することは困難であり、仙腸関節運動を評価する診断ツールとしては推奨できないと結論づけています。

A Radiostereometric Analysis of Movements of the Sacroiliac Joints During the Standing Hip Flexion Test

Bengt Sturesson, Alf Uden, Andry Vleeming

次の論文では、仙腸関節痛が疑われる患者様に対して、仙腸関節ブロックを基準に、複数の身体検査の診断精度を比較しています。

パトリックテスト単独では、感度71.8%、特異度66.7%、陽性的中率90.3%、陰性的中率35.3%と報告されています。

この結果は、パトリックテスト陽性が仙腸関節領域の痛みと関連する場合がある一方で、陽性所見だけで仙腸関節障害を確定できるわけではないことを示しています。

したがって、パトリックテストは仙腸関節周囲の症状を確認する検査として参考になりますが、単独で診断を決める検査ではありません。

症状の部位、他の身体所見、画像所見、既往歴をあわせて解釈する必要があります。

Accuracy of the Diagnostic Tests of Sacroiliac Joint Dysfunction

Parisa Nejati, Shahin Safarcherati, Amirhosein Karimi, et al.

下記論文では、腰痛と片側殿部痛を有する65名を対象に、骨盤の対称性や仙腸関節運動をみる4つの検査を組み合わせた評価の検者間信頼性を検討しています。

結果として、検査結果の一致率は60〜69%、κ係数は0.11〜0.23、陽性一致率は50%未満でした。

κ係数は、偶然の一致を差し引いたうえで、検者同士の判定がどの程度一致しているかを示す指標です。

この研究で示された0.11〜0.23という値は、検者間の一致が低いことを意味します。

著者らは、これら4つの検査による測定の信頼性は臨床使用には低すぎると述べています。

この結果は、骨盤の左右差や仙腸関節運動を徒手検査だけで安定して判定することの難しさを示しています。

パトリックテストも、仙腸関節領域の症状を確認する検査として参考にはなりますが、骨盤の位置異常や仙腸関節運動の異常を単独で判断する検査ではありません。

Evaluation of the Presence of Sacroiliac Joint Region Dysfunction Using a Combination of Tests

Daniel L. Riddle, Janet K. Freburger, et al.

▶︎画像診断と痛み

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パトリックテストを末梢神経の視点から再検討する

パトリックテストで再現される症状は、末梢神経の分布からも考える必要があります。

股関節を屈曲・外転・外旋位にすることで、鼠径部周囲の組織や神経にも力学的な負荷が加わるため、鼠径部から大腿前面に症状が出る場合は、大腿神経、閉鎖神経、外側大腿皮神経などとの関係を考えます。

殿部や仙腸関節周囲に症状が出る場合は、上殿皮神経、中殿皮神経など、上殿神経や下殿神経などとの関係も考えます。

▶︎大腿神経とは何か

▶︎外側大腿皮神経

▶︎下肢症状と末梢神経

結論

パトリックテストは、股関節前面、鼠径部、殿部、仙腸関節周囲の症状を確認する整形外科的テストです。

陽性所見だけで、股関節関節内病変、仙腸関節障害、骨盤の位置異常、仙腸関節運動の異常を判断することはできません。

しびれ、放散痛、大腿内側や大腿外側への広がりがある場合は、末梢神経の分布も含めて解釈します。

症状の部位、症状の質、画像所見、他の身体所見とあわせて読む検査として位置づけられます。

▶︎ 整形外科的テストを吟味するとは何か


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