小顔矯正は骨格変化と軟部組織の変化を分けて考える必要がある
小顔矯正という言葉には、複数の主張が混ざっています。
頭蓋骨や顔面骨の歪みを整えるという話もあれば、浮腫が軽くなったり、咬筋や表情筋の筋緊張が変わることで左右差が目立ちにくくなったという話もあります。
この二つは同じではありません。
まず分けるべきなのは、骨格そのものの変化と、筋を含む軟部組織の変化です。
小顔矯正を考える前に顔面骨と縫合の基礎を確認する
顔面は一枚の骨でできているわけではありません。
前頭骨、上顎骨、頬骨、鼻骨、涙骨、篩骨、口蓋骨、下鼻甲介、下顎骨、蝶形骨などが顔の骨格形成に関わります。
頭蓋骨や顔面骨の多くには縫合がみられ、発育の過程では重要な意味を持ちます。ただし、縫合が存在することと、徒手でその骨の位置を臨床的に意味のあるように変えられることは別問題です。
縫合があるから手で骨が動く、という推論は成り立ちません。
小顔矯正の骨格理論を支える研究結果と評価方法は成立していない
小顔矯正では、蝶形骨を含む頭蓋骨の可動性が語られ、蝶形骨や頬骨、上顎骨の歪みを整えるという説明が使われることがあります。
しかし、成人の頭蓋を徒手で動かした、蝶形骨を動かした、頬骨が開いていたものを戻した、といった説明は耳あたりは良くても、その主張を支える妥当性の高い研究結果は存在しません。
骨の可動性も科学的に妥当性のある評価方法も示されていない以上、骨格矯正を説明理論の中心に置くことはできません。
小顔矯正で一時的にすっきり見えることはある
施術後に顔がすっきり見えること自体は否定できません。
これは骨格が小さくなったのではなく、浮腫の軽減、咬筋や表情筋まわりの筋緊張の変化、表情や気分の変化として考える方が妥当です。
また、小顔矯正では痛みを伴う強い刺激が使われることも多く、その場合の一時的なすっきり感にはDNICが関与している可能性があります。つまり、現象として見た目の変化はあっても、その説明として骨格矯正を選ぶ理由はありませんし、一定のリスクもあります。
小顔矯正の変化は軟部組織と神経生理学で説明できる
小顔矯正で起きている変化を科学的に説明するなら、顔面や頚部への接触刺激によって、中枢神経系の処理、筋緊張の変化、むくみの軽減が起こったと考える方が理論的です。
顔には多くの神経線維があり、眼、鼻、口、前庭、味覚など重要な感覚器も集中しています。そのため、顔への徒手療法では、安心して受けられる優しい刺激を選ぶ必要があります。
快適と受け取られる触覚入力と、不快や警戒を伴う刺激では、中枢での処理も身体の反応も異なります。
強い刺激で変化が起きたとしても、それは骨格補正の証拠にはなりません。
この視点に立つと、小顔矯正の変化は、骨格矯正ではなく、中枢での処理、筋緊張や表情の変化として説明できます。
小顔矯正のビフォーアフター写真は骨格変化を証明しない
小顔矯正では施術前後の写真がよく使われます。
しかし、写真の印象は、角度、表情、頭位、口角の角度、光、撮影の距離、時間帯、浮腫の程度でも変わります。
そのため、見た目の差だけを根拠に、頬骨や下顎骨や蝶形骨の位置が変わったと結論づけることはできません。
写真は現象の記録にはなっても、骨格理論の検証にはなりません。
結論|小顔矯正を骨格矯正として説明する根拠はない
小顔矯正で一時的な見た目の変化が出ることはあります。
ただし、それを頭蓋骨や顔面骨の矯正として説明する根拠はありません。
蝶形骨を含む頭蓋骨を徒手で変えられるという主張を支える、妥当性の高い研究結果は存在せず、評価方法の再現性も十分ではありません。
小顔矯正で起きている変化は、浮腫、筋緊張、触覚入力、身体の反応、表情や撮影条件の変化で説明できます。
したがって、小顔矯正を骨格矯正として語る説明は、科学的には妥当ではありません。
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