ゴルフ肘テストとは何か|内側上顆炎と肘内側痛をみる整形外科的テスト
ゴルフ肘テストは、いわゆるゴルフ肘、つまり内側上顆炎を疑うときに用いられる整形外科的テストです。
ゴルフ肘という名称は一般的ですが、実際にはゴルフ選手だけでなく、手関節掌屈、前腕回内、強い把持動作、手作業の反復でも肘内側痛はみられます。
一般的には、前腕を回外位、手関節を伸展位にして、その状態から肘関節をゆっくり伸展させ、上腕骨内側上顆周囲の痛みが再現されるかを確認します。
これは、内側上顆に付着する前腕屈筋群・回内筋群に伸張方向の負荷を加える検査です。
また、臨床では抵抗下での手関節掌屈や前腕回内によって、同じく肘内側痛が再現されるかを確認することもあります。
ただし、内側上顆周囲には尺骨神経も近接しているため、陽性所見だけで内側上顆炎を確定することはできません。
この検査で言えるのは、肘内側への負荷で症状が再現または変化したということまでです。
ゴルフ肘テストと画像所見はどこまで一致するのか
下記の研究では、臨床的な内側上顆炎に対する超音波検査の診断的価値が検討されています。
この研究では、超音波検査は内側上顆炎の検出に有用で、臨床評価を補う情報になるとされています。
Diagnostic value of ultrasonography for clinical medial epicondylitis
G-Y. Park, S-M. Lee, M-Y. Lee
ゴルフ肘テストの診断精度をどう読むか
ゴルフ肘テスト単独の診断精度を高く評価できる研究は限られています。
下記のシステマティックレビューでは、肘の代表的な疾患に対する徒手検査の診断精度が検討されています。
この研究はゴルフ肘テスト単独を評価したものではありません。肘の徒手検査には多数の方法がありますが、内側上顆炎に対する検査単独の診断精度は十分に整理されているとは言えません。
Physical examination of the elbow, what is the evidence? A systematic literature review
E.L. Zwerus, et al.
ゴルフ肘テストを末梢神経の視点から再検討する
ゴルフ肘テスト陽性を、内側上顆に付着する前腕屈筋群・回内筋群だけで説明するのは不十分です。
まず確認したいのは、内側上顆後方の肘部管を通過する尺骨神経です。肘内側痛に加えて、環指尺側や小指のしびれ、感覚異常、前腕尺側への広がりがある場合は、肘部管症候群が視野に入ります。
また、前腕回内で症状が変化する場合は、円回内筋周囲に負荷が加わるため、正中神経近位部の関与も補助的な視点になります。
ただし、ゴルフ肘テスト単独で、尺骨神経、正中神経、前腕屈筋群・回内筋群由来の痛みを選び分けることはできません。
その意味で、ゴルフ肘テストは内側上顆炎だけでなく、尺骨神経や正中神経近位部を含めて肘内側痛を読む検査にもなります。
結論|ゴルフ肘テストの臨床的な位置づけ
ゴルフ肘テストは、内側上顆炎を証明する検査とは言い切れません。
単独で屈筋腱の起始部を痛みの主な原因として確定できる強い診断精度の根拠は乏しく、研究上も内側上顆炎に対する徒手検査の診断精度は十分に整理されていません。
画像所見も、腱の状態や鑑別すべき病態を確認するうえでは重要ですが、痛みの主な原因を単独で証明するものではありません。
一方で、ゴルフ肘テストは意味のない検査ではありません。
肘内側への負荷で症状がどう再現されるかを確認し、屈筋腱だけでなく、尺骨神経や正中神経近位部の関与も含めて症状を整理する検査として位置づけるのが妥当です。
関連コラム|クリティカルシンキングの理解を深める

