フィンケルスタインテストとは何か|整形外科的テストを吟味する

整形外科的テストDNM
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フィンケルスタインテストとは何か

フィンケルスタインテストは、ドケルバン病を疑う場面で用いられる橈側手関節痛の誘発テストです。

ドケルバン病とは、母指側の手関節に痛みが出る疾患名で、一般的には第1伸筋区画(橈骨茎状突起付近にある腱の通り道)で長母指外転筋と短母指伸筋の腱が通るスペースが狭くなり、腱鞘との間で摩擦が起こる狭窄性腱鞘炎として理解されます。

この区画の中を、母指を外へ開く長母指外転筋と、母指を伸ばす短母指伸筋が通ります。

狭義のフィンケルスタインテストでは、検者が患者様の母指を把持し、軽く牽引しながら手関節を尺屈方向へ誘導して、橈骨茎状突起周囲の痛みを確認します。

陽性所見は、橈骨茎状突起付近から母指基部にかけての局所痛です。

ただし、痛みが出たからといって、それだけでドケルバン病と確定できるわけではありません。

▶︎ ドケルバン病とは何か

母指を握るセルフチェックとアイヒホッフテスト

一般的にセルフチェックとして紹介される方法は、母指を手掌内へ握り込み、その上から他の指で包み込んで拳を作り、手関節を尺屈させる方法です。

この方法は、厳密にはフィンケルスタインテストではなく、アイヒホッフテストです。

一方で、狭義のフィンケルスタインテストは、検者が母指を把持し、軽く牽引しながら手関節を尺屈方向へ誘導します。

つまり、両者の違いは、母指を患者様自身が握り込むのか、検者が母指を誘導するのかにあります。

母指を握り込む方法では、第1伸筋区画だけでなく、母指CM関節、手背橈側の皮膚・皮下組織、橈骨神経浅枝にも張力や刺激が加わる可能性があります。

そのため、セルフチェックで橈側手関節に痛みが出た場合でも、ドケルバン病を疑うきっかけにはなりますが、確定にはなりません。

とくに、母指から手背橈側へ広がるしびれ、ヒリヒリ感、皮膚刺激での不快感、時計やサポーターで悪化する症状がある場合には、橈骨神経浅枝の関与も考える必要があります。

フィンケルスタインテストは何をみているのか

この論文では、無症状の参加者36名、72手関節を対象に、狭義のフィンケルスタインテストとアイヒホッフテストを比較しています。

結果として、フィンケルスタインテストは偽陽性が少なく、特異度が高く、検査時の不快感も少ないと報告されています。

Finkelstein's Test Is Superior to Eichhoff's Test in the Investigation of de Quervain's Disease

Wu F, Rajpura A, Sandher D

WHATテストとの比較

ドケルバン病の徒手検査としては、WHATテスト(ワットテスト)も提案されています。WHATテストは、手関節を強く掌屈させた状態で母指を外転させ、橈側手関節痛を確認する検査です。

この論文では、ドケルバン病の患者様100名を対象に、アイヒホッフテストとWHATテストを比較しています。

結果として、WHATテストはアイヒホッフテストより高い感度を示し、特異度も改善したと報告されています。

ただし、報告された特異度は0.29であり、病態を単独で確定できるほど高い数値ではありません。

この研究は、WHATテストが橈側手関節痛を拾う検査として有用である一方で、検査結果だけでドケルバン病を確定するには限界があることを示しています。

The wrist hyperflexion and abduction of the thumb (WHAT) test: a more specific and sensitive test to diagnose de Quervain tenosynovitis than the Eichhoff's Test

Goubau JF, et al.

画像所見だけで判断できるのか

この論文では、ドケルバン病に対する超音波、MRI、X線などの画像所見が検討されています。

腱鞘液、伸筋支帯の肥厚、皮下浮腫、血流増加、腱肥大などが報告されていますが、研究の質や報告内容にばらつきがあり、画像検査の診断精度は明確に判断できないとされています。

超音波は臨床で有用な選択肢になり得ますが、画像所見だけで痛みの主な原因を確定することはできません。

Diagnostic accuracy of imaging modalities in the detection of clinically diagnosed de Quervain's syndrome: a systematic review

McBain B, Rio E, Cook J, Grabinski R, Docking S

▶︎ 画像診断と痛みの関係

末梢神経の視点から再検討する

ドケルバン病をみる検査であっても、末梢神経の関与は除外できません。

とくに重要なのは、橈骨神経の末梢枝である橈骨神経浅枝です。

橈骨神経浅枝は、前腕遠位橈側から手背橈側へ分布する感覚枝であり、橈骨茎状突起周囲、母指背側、手背橈側の感覚に関与します。

母指を牽引して手関節を尺屈させる方法でも、母指を握り込んで尺屈させる方法でも、橈側手関節周囲には張力が加わります。

そのため、第1伸筋区画だけでなく、橈骨神経浅枝にも張力変化や局所刺激が加わる可能性があります。

橈骨茎状突起付近の痛みだけでなく、手背橈側への広がり、ヒリヒリ感、しびれ、皮膚刺激での不快感がある場合には、腱鞘だけで説明しない方が臨床的です。

▶︎ 橈骨神経とは

▶︎ 橈骨神経浅枝とは

結論

フィンケルスタインテスト、アイヒホッフテスト、WHATテストはいずれも橈側手関節痛をみる検査ですが、検査結果だけで病態を確定するものではありません。

第1伸筋区画を通る長母指外転筋と短母指伸筋に関連した症状を主に考えつつ、橈骨神経浅枝、母指CM関節なども鑑別に入れる必要があります。

画像所見も補助情報であり、痛みの主な原因を単独で決める材料にはなりません。

したがって、ドケルバン病を疑う場面では、検査名と手順を明確に分けたうえで、痛みの質、神経分布、圧痛部位、画像所見、日常動作での再現性を重ねて解釈することが重要です。

▶︎ 整形外科的テストを吟味するとは何か


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