エリーテストとは何か
エリーテストは、大腿直筋の短縮や柔軟性を確認する整形外科的テストです。
一般的には、患者様を腹臥位にし、検査側の膝関節を他動的に屈曲します。
膝を屈曲したときに、踵が殿部へ近づく前に同側の股関節が屈曲したり、骨盤前面が浮き上がったり、前大腿部の痛みや違和感が再現されたりする場合は陽性と解釈されます。
大腿直筋は股関節と膝関節をまたぐ二関節筋であるため、膝屈曲によって前大腿部に張力が加わります。
そのため、エリーテストは大腿直筋を中心とした前大腿部の張力を確認する検査として扱われますが、陽性所見だけで大腿直筋短縮を単独で断定することはできません。
エリーテストの再現性と解釈の限界
下記の研究では、外傷の既往歴がない18〜45歳の54名を対象に、エリーテストの再現性を検討しています。
結果として、陽性・陰性判定、角度測定のいずれも再現性は中等度にとどまりました。
著者らは、エリーテストの統計的信頼性には疑問が残ると述べています。
この結果から、エリーテストは大腿直筋の柔軟性を確認する手がかりにはなりますが、陽性所見だけで大腿直筋短縮を断定する検査ではありません。
Reliability of the Ely's test for assessing rectus femoris muscle flexibility and joint range of motion
J. Peeler, J.E. Anderson
一方で、下記の研究では、骨盤と股関節の安定化を考慮した条件で、エリーテストの良好な再現性が報告されています。
この結果は、エリーテストを角度測定として使う場合、検査条件をそろえることが重要であることを示しています。
The Reliability and Minimal Detectable Change of the Ely and Active Knee Extension Tests
Oscar Olivencia, et al.
エリーテストを末梢神経の視点から再検討する
エリーテストで再現される症状は、筋の張力だけでなく、末梢神経の分布からも考察できます。
膝を屈曲することで前大腿部に張力が加わるため、前大腿部や鼠径部に痛み、しびれ、違和感が出る場合は、大腿神経との関係を考えます。
大腿神経は鼠径部を通過して大腿前面へ分布し、大腿四頭筋の運動と大腿前面の感覚に関与します。
また、大腿外側のしびれや灼熱感がある場合は、外側大腿皮神経の関与も考えます。
結論
エリーテストは、大腿直筋を中心とした前大腿部の張力を確認する整形外科的テストです。
陽性所見だけで、大腿直筋短縮、股関節前面の問題、末梢神経障害を断定することはできません。
臨床では、骨盤の動き、膝屈曲時の反応、前大腿部や鼠径部の症状、大腿外側への広がりをあわせて解釈します。
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