学生が知っておくべきDNIC|痛みで痛みを抑える神経メカニズムとそのリスク

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学生が知っておくべきシリーズ

本記事は「学生が知っておくべきシリーズ」の一部です。

▶︎ 学生シリーズ基礎ガイド

理学療法士、柔道整復師、鍼灸師など医療系国家資格を目指す学生に向けて、臨床で重要になる神経科学やペインサイエンスの考え方を整理しています。

国家試験の勉強だけでは理解しにくい臨床の視点を、できるだけわかりやすく解説します。

 

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DNICとは何か

DNICとは Diffuse Noxious Inhibitory Control の略で、日本語では広汎性侵害抑制調節と訳されることがあります。

これは「強い侵害刺激が別の部位の痛みを抑える」という神経現象です。強い刺激を受けたときに別の痛みを感じにくくなる現象として知られています。

近年では、この現象は条件刺激性疼痛調節(CPM)として研究されることもあります。

▶︎ DNICとは何か

下行性疼痛抑制系

DNICは主に下行性疼痛抑制系と呼ばれる神経システムと関係しています。

脳幹から脊髄へ向かう神経経路が、痛みの伝達を調整することが知られています。このシステムには内因性オピオイド、セロトニン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が関与する可能性が示されています。

▶︎ 下行性疼痛抑制系とは何か

強い刺激で痛みが減る理由

強い刺激によって一時的に痛みが軽減することがあります。

これはDNICによって説明される可能性があります。強いマッサージ、強い圧刺激、冷刺激などによって痛みが一時的に軽減することがあります。

しかしこの変化は、必ずしも組織が改善したことを意味するわけではありません。神経系の調節によって痛みの知覚が変化している可能性があります。

DNICの限界

DNICによる鎮痛は一時的な現象であることが多いと考えられています。

つまり強い刺激による変化は、長期的な組織変化ではなく、神経系の調節として説明される場合があります。そのため一時的な痛みの変化だけで治療効果を判断することには注意が必要です。

強い刺激のリスク

強い刺激は神経系に対して侵害刺激として作用する可能性があります。

過度な刺激は防御反応、筋緊張、痛みの増強などを引き起こす可能性もあります。特に慢性疼痛では神経系が敏感になっている場合もあるため、刺激の強さには注意が必要です。

徒手療法とDNIC

徒手療法では、強い刺激が効果的と考えられることがあります。

しかし一部の変化はDNICによる一時的な鎮痛として説明できる可能性があります。そのため臨床では刺激の強さ、患者様の反応、症状の持続的変化などを総合的に考えることが重要になります。

学生のうちに知っておく意味

DNICは、痛みの神経科学を理解する上で重要な概念の一つです。

強い刺激による一時的な変化を、構造変化や組織改善と誤解しないためにも、この現象を理解しておくことは重要です。

結論

DNICは、強い侵害刺激によって痛みが抑制される神経現象です。

この現象は下行性疼痛抑制系によって説明される可能性があります。しかしDNICによる鎮痛は一時的なことも多く、強い刺激にはリスクもあります。

医療系学生にとっても、この神経メカニズムを理解しておくことは、痛みの臨床を理解する上で重要な基礎になります。

 


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