コーゼンテストとは何か|テニス肘をみる整形外科的テスト
コーゼンテストは、テニス肘として知られる外側上顆炎の評価でよく使われる整形外科的テストです。
一般的には、肘を約90°屈曲し、前腕を回内位にした状態で手関節背屈に抵抗を加え、外側上顆部に患者様の痛みが再現されるかを確認します。
関連する検査には、中指伸展テストやミルテストがありますが、抵抗収縮、中指伸展での負荷、伸筋群への伸張ストレスという違いがあり、それぞれ外側肘部に加わる負荷の条件は異なります。
一般的に示唆されるのは、上腕骨外側上顆に付着する短橈側手根伸筋の起始部の関与です。
ただし、負荷が及ぶのは短橈側手根伸筋だけではなく、総指伸筋、回外筋、外側側副靱帯、関節包周囲、橈骨神経にも影響する可能性があります。
そのため、テストの陽性所見だけで短橈側手根伸筋起始部を痛みの主な原因として確定することはできません。
この検査で言えるのは、外側肘部の症状が再現または変化したということまでです。
コーゼンテストと画像所見はどこまで一致するのか
下記の研究では、肘に痛みを訴えていない患者様でも、MRI上で外側側副靱帯や総伸筋腱の異常所見がみられることが報告されています。
対象は22例と多くありませんが、そのうち5例に異常所見があり、いずれも65歳以上でした。
この研究から読めるのは、外側肘部のMRI所見は、痛みの存在と必ず一致するわけではないという点です。
とくに高齢の患者様では、総伸筋腱や外側側副靱帯の変化が、加齢に伴う変性所見としてみられる可能性があります。
そのため、コーゼンテストで外側肘部痛が再現され、MRIで総伸筋腱や外側側副靱帯の異常が確認されたとしても、それだけで痛みの主な原因を確定することはできません。
Lateral elbow magnetic resonance imaging findings in patients without elbow pain
Saeki M, et al.
コーゼンテストの診断精度をどう読むか
下記のシステマティックレビューでは、外側肘腱障害に対する診察テストと画像検査の診断精度が検討されています。
対象となったのは24研究、合計1,370名で、内訳は超音波画像18の研究、徒手検査2の研究、MRIは4の研究でした。
このレビューでは、コーゼンテストや痛みのない把持力評価が、外側肘腱障害を確認する検査候補として挙げられています。
一方で、含まれた研究の97%が、バイアスリスクまたは適用可能性において「不明」または「高リスク」と評価されています。
そのため、コーゼンテストは外側肘腱障害を疑ううえで参考になる検査ではありますが、研究の質や参照基準のばらつきまで含めると、単独で外側上顆炎を確定する検査として扱うのは慎重であるべきです。
Diagnostic accuracy of examination tests for lateral elbow tendinopathy (LET) - A systematic review
Karanasios S, et al.
下記の研究では、外側上顆炎に対して、コーゼンテスト、中指伸展テスト、ミルテストの信頼性、超音波画像、身体活動量との関係が検討されています。
この研究では、コーゼンテストと中指伸展テストは感度が高い傾向を示し、ミルテストは特異度が高い一方で感度は低い傾向を示したとされています。
この結果から読めるのは、3つの検査はすべて外側肘部痛の評価で使われるものの、同じ情報を同じ精度で示しているわけではないという点です。
抵抗収縮で痛みをみるコーゼンテスト、中指伸展抵抗で前腕近位外側の痛みをみる中指伸展テスト、伸張負荷を中心にみるミルテストでは、負荷のかかり方が異なります。
そのため、コーゼンテスト陽性だけで外側上顆炎を確定するのではなく、どの検査で、どの部位に、どのような痛みが再現されたのかを分けて読む必要があります。
Differences in Clinical Tests for Assessing Lateral Epicondylitis (Elbow) in Adults concerning Their Physical Activity Level: Test Reliability, Accuracy of Ultrasound Imaging and Relationship with Energy Expenditure
Soares MM, Souza PC, Ribeiro AP.
コーゼンテストを末梢神経の視点から再検討する
外側肘部痛をみる際は、伸筋腱付着部だけでなく、橈骨神経系との位置関係も確認します。
特に、橈骨神経深枝から後骨間神経へ移行する領域、回外筋近位部を通る橈骨トンネル周囲は、前腕近位外側の痛みと重なります。
外側上顆部に症状が限局する場合は、伸筋腱付着部の関与を考えますが、圧痛がやや遠位にあり、前腕近位外側へのだるさや抵抗下の回外動作での増悪が目立つ場合は、橈骨トンネル周囲も視野に入ります。
また、前腕外側の表層にヒリヒリ感、しびれ、接触過敏がある場合は、外側前腕皮神経の分布も確認します。
このように、痛みの部位、広がり方、感覚異常の有無をみることで、腱付着部だけでは説明しきれない症状が含まれていないかを検討できます。
結論|コーゼンテストの臨床的な位置づけ
コーゼンテストは、テニス肘として知られる外側上顆炎を証明する検査とは言い切れません。
単独で短橈側手根伸筋起始部を痛みの主な原因として確定できる検査ではなく、研究上も、診断精度や画像所見との関係には解釈上の限界があります。
画像所見も、総伸筋腱起始部の変化や除外すべき病態を確認するうえでは重要ですが、今ある痛みの主な原因を単独で証明するものではありません。
一方で、コーゼンテストは意味のない検査ではありません。
手関節背屈抵抗で外側肘部痛がどう再現されるかを確認し、中指伸展テストやミルテストとの違い、圧痛部位、画像所見、症状分布、橈骨神経系や外側前腕皮神経の関与を含めて症状を読む検査として位置づけるのが妥当です。
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