変形性膝関節症のための膝関節鏡手術はプラセボより効果がない。

変形性膝関節症のための膝関節鏡手術は、プラセボより効果がない。

変形性膝関節症とは、歩行時や階段を上り下りするとき、または正座が痛くてできないなど、膝の痛みを感じる症状のことです。

膝の軟骨が変性したり擦り減ったりすることで痛みが出ると言われています。

それに対して、整形外科では関節鏡視下手術を行うことがあります。

関節鏡という小さなカメラのようなものを膝関節に刺し、軟骨や半月板のささくれや増えた骨膜などを除去したり、綺麗にする手術のことです。

しかし、下記研究では、プラセボより効果がなく、予後も悪いという結果があります。

変形性膝関節症165人が、関節鏡視下手術と偽プラセボ手術を受けたという研究。

「多くの患者は、変形性関節症のために膝関節鏡検査を受けた後に症状の軽減を報告しているが、この手順がどのようにしてこの結果を達成するかは不明である。

我々は、膝の変形性関節症に対する関節鏡検査の有効性を評価するために、無作為化プラセボ対照試験を実施した。」

変形性膝関節症の合計180人の患者が、関節鏡視下デブリードマン、関節鏡下洗浄、またはプラセボ手術を受けるために無作為に割り当てられた。 プラセボ群の患者は、関節鏡を挿入せずに皮膚切開を受け、疑似デブリードマンを受けた。」

※デブリードマンとは、関節内遊離体の摘出や、変性断裂した半月板の部分切除、滑膜の切除などをおこなうこと。

24ヶ月間にわたって複数の時点で転帰を評価した。 合計165人の患者が試験を完了した。」

いずれの介入群も、プラセボ群よりも痛みが少ないこと、または機能が優れていることを報告していない。

「いずれの時点においても、関節鏡的介入群のいずれもプラセボ群よりも機能の改善に有意差はなかった。

例えば、プラセボ群と洗浄群またはデブリードマン群のいずれとの間でも、1年間の歩行および屈曲の自己報告能力に有意差は認められなかった。

実際に、客観的に測定された歩行および階段上昇は、2週間および1年において、プラセボ群よりもデブリードマン群で劣っていた。そして2年後に機能が悪化する傾向を示した。」

「変形性膝関節症患者を対象としたこの対照試験では、関節鏡下洗浄または関節鏡下デブリードメント後の結果は、プラセボ手術後の結果よりも良くなかった。

A Controlled Trial of Arthroscopic Surgery for Osteoarthritis of the Knee

J. Bruce Moseley, M.D., Kimberly O’Malley, Ph.D., Nancy J. Petersen, Ph.D., Terri J. Menke, Ph.D., Baruch A. Brody, Ph.D., David H. Kuykendall, Ph.D., John C. Hollingsworth, Dr.P.H., Carol M. Ashton, M.D., M.P.H., and Nelda P. Wray, M.D., M.P.H.

結論

変形性膝関節症患者165人が、膝関節鏡視下手術と偽プラセボ手術を受けるように割り当てられました。

結果、痛みや機能において実際の手術はプラセボと変わりがなく、予後に関してはプラセボよりも悪かったという結果になりました。

サイエンスから見てMRI画像所見と痛みとの関連性は低いと言われています。

手術は一度したら傷ができ、微細な血管や神経の損傷、皮膚の瘢痕化による皮膚滑走性の低下など、もう戻らないような結果を生み出してしまいます。

手術が必要な場合はもちろんあると思います。ただ現実はそうではない場合も多いという事を気に留めておく必要があるかと思います。

MRIに写らない、末梢神経や皮神経が痛みの原因ということもあります。

徒手療法は、画像所見に写らない膝の痛みでお悩みの方の役に立てる可能性があります。