コアスタビリティ/安定化エクササイズと腰痛②

コアスタビリティ/安定化エクササイズと腰痛②

前回に引き続き、コアスタビリティについて読み解いていきます。

コアスタビリティとは、体幹安定化という意味があり、体幹を鍛える、コアを鍛えるという運動が流行しています。

しかし、サイエンスから読み解くと、理論的には問題が多く含まれています。

前回のコラムを読んでいない方は、まずはこちらをご覧ください。

内部フォーカスは運動熟練者のパフォーマンスを下げる

ある運動の初心者には内部フォーカスが良く、

熟練者には外部フォーカスがパフォーマンスを上げると言われています。

つまり、その運動の初心者にはコアを意識させることは有効かもしれません。

しかし、熟練者にコアなどの内部にフォーカスを向けさせることはパフォーマンスを下げると言われています。

 

「ある運動の初心者には内部にフォーカスを向けさせることが、運動能力を向上させることになる。」

「しかし、熟練者には、内部ではなく外部にフォーカスを向けさせた方が、パフォーマンスが良くなることが分かってきている。」

「つまり、体幹筋にだけフォーカスを向ける事は、プロのアスリートなどにとって、パフォーマンスを下げさせる。

「この原則は、腹横筋または他の筋肉群への内部フォーカスが、熟練した運動能力を低下させることを強く示唆している。(体幹筋の緊張が姿勢制御を低下させることさえ示されている)」

The Myth of Core Stability
Professor Eyal Lederman

なぜ、コアスタビリティ・エクササイズでも腰痛改善効果を感じるのか?

コアスタビリティのエクササイズで腰痛が改善されたと感じることがあります。これは他のエクササイズでもおなじこと。 

つまり、コアを鍛えたから腰痛が減ったのではなく、身体的な運動による腰痛軽減だと言われています。

「一見したところ、再発性腰痛の治療のためのコア安定化運動の研究は有望に見える。他の治療法と比較すると、著しい改善が見られることがある。」

「コア安定化訓練が一般的な訓練と比較されるとき、…両方の運動アプローチが同等に有効であることが実証されている。」

「これらの研究は、改善が、脊柱安定性の改善よりもむしろ物理的な運動が患者に及ぼし得る肯定的な効果によるものであることを強く示唆している(一般的な運動も慢性腰痛を改善できることが知られている)」

コア安定化のエクササイズは、他のどのような運動よりも効果的ではなく、怪我を防ぐこともない。

いずれの治療的影響も、コアスタビリティの問題ではなく、運動の影響に関連している。」

The Myth of Core Stability
Professor Eyal Lederman

結論

これらのことから分かることは、

・腹筋の弱さと腰痛の関連性は低い

・肥満と腰痛の関連性は低い

・コアだけを分けて鍛えることはできない

・歩行や立位では体幹筋は殆ど使われない

・動きの初心者には内部フォーカスが有効だが、熟練者にはマイナスに働く。つまり体幹に意識を向かせるとパフォーマンスが低下する

・コアスタビリティのためのエクササイズは腰痛に効果があるが、普通の運動でも効果がある。

です。

「体幹・コア」という言葉が独り歩きしている気がします。

人間の身体は複雑系です。

アウターマッスルやインナーマッスルと分けずに、複合的な要素の中の1つと見た方がいいかと思われます。