非特異性腰痛の原因③中殿皮神経の絞扼と仙腸関節障害

非特異性腰痛の原因③中殿皮神経の絞扼と仙腸関節障害

非特異性腰痛が85%であり、心因性が多いと言われています。しかし画像に映らないからと言って、本当に全てが心理的な問題なのでしょうか?

皮神経の絞扼は、MRIなどの画像所見で発見することは困難だと言われています。

中殿皮神経とは?

S1〜S3由来の脊髄神経後枝の皮神経です。臀部の仙腸関節付近から外側に向けて

 

中殿皮神経障害

中殿皮神経が、長後仙腸靭帯下を通過するところで絞扼されることがあります。

その時、腰痛と脚の痛みや痺れなどの症状が起こります。それは立位や長時間座っていること、また歩行で痛みが増します。

その症状は、仙腸関節障害と呼ばれるものととても似ています。

ちなみに下記論文を書かれた青田先生は、DNMを受けに来て下さったことがあります。

中殿皮神経の絞扼は、おそらく腰痛および/または脚の症状の不十分な診断の原因である。脊椎外科医はこの臨床的存在を認識し、不必要な脊椎手術や仙腸関節固定術を避けるべきだ。」

「主にS1とS2の側枝による中殿皮神経障害が、腓腹部に至る大腿後面の下肢症状の原因になり得るという説明になる証拠がある。」

「中殿皮神経の圧痛点は、上後腸骨棘の尾側40mm以内の長後仙腸靭帯上にあった。」

中殿皮神経絞扼による疼痛は、仙腸関節痛として治療することができる。

「仙腸関節痛は依然として物議をかもしている議題であるが、それは腰痛の15%〜30%を引き起こすと考えられ、しばしば下肢症状に対する臀部と関連している。」

仙腸関節の痛みを一貫して特定できる病歴または身体診察所見はない。」

パトリックテストやゲンスレンテストなどの身体検査は予測値が弱い。

放射線画像は診断にほとんど寄与しない。※X線、CT、MRIなど。

「これらの結果は、仙腸関節の痛みが長後仙腸靭帯に起因する可能性があることを示唆している。」

「大規模な疫学的研究は、腰痛患者の20〜37%が神経因性疼痛の構成要素を患っていることを示している。」

Entrapment of middle cluneal nerves as an unknown cause of low back pain.
Yoichi Aota

中殿皮神経絞扼は、腰椎屈曲や長時間の座位、歩行によって悪化するという研究です。大殿筋の緊張でも悪化する可能性も示唆されています。

そして一般的な画像所見で発見される腰椎疾患と似た症状が現れる為、鑑別診断を行うことが大切だと言われています。

 

「中殿皮神経絞扼による腰痛も腰椎運動の影響を受ける。患者の82%において、それは脚の症状を誘発し、そして短期間および長期間の立位、腰椎屈曲、横臥位、長時間の座位、そして特に歩行によって悪化した。」

これらの症状は腰椎疾患患者の症状とも類似しているため、鑑別診断を行う必要がある。

「中殿皮神経が腸骨稜端の後上腸骨棘と下後腸骨棘の間の長後仙腸靭帯を通過して走る。それは後上腸骨棘に対して尾側35mmまたはわずかにより外側に位置する絞扼部位と一致する。」

「中殿皮神経は、腸骨と長後仙腸靭帯との間の狭い空間、仙腸関節周囲領域で圧迫される可能性があり、動き、負荷、および軽微な亜脱臼が中殿皮神経絞扼をもたらし得る。

中殿皮神経は大殿筋を通過し、その緊張の増加は、身体姿勢や運動の変化中に中殿皮神経の伸張を引き起こすかもしれない。

「したがって、中殿皮神経絞扼による腰痛とさまざまな腰部の姿勢との間には関係がある。」

Superior and Middle Cluneal Nerve Entrapment as a Cause of Low Back Pain.
Toyohiko Isu, Kyongsong Kim, […], and Naotaka Iwamoto

まとめ

仙腸関節に大きな障害がある場合は別です。しかし仙腸関節障害と呼ばれる症状の多くは、おそらく中殿皮神経の絞扼である可能性が高いということが、この研究から分かります。

そして非特異性腰痛と言われ、MRIに映らないだけの皮神経絞扼という問題が見過ごされています。

さらにこの研究では「腰痛患者の20〜37%が神経因性疼痛」と言われています。

皮神経の絞扼による神経の血流の滞りを変化させるために、 DNMには中殿皮神経へのスキンストレッチアプローチがあります。

中殿皮神経へのDNMアプローチ/スキン・ストレッチ

上殿皮神経、中殿皮神経、脊髄神経後枝の筋枝と皮枝含めて、腰痛の評価に入れる必要があります。