仙腸関節はわずかにしか動かず、検査のエビデンスはない

仙腸関節はわずかにしか動かず、検査のエビデンスはない

仙腸関節とは、腸骨と仙骨の間にある関節のことで、仙腸関節障害や骨盤の歪みという言葉でよく使われています。

しかし、仙腸関節は実際動くのでしょうか?また疼痛がある人とない人で違いはあるのでしょうか?いくつか参考になる論文が答えを教えてくれます。

この論文では、回転、平行移動共に1mm弱だけ動いたとのことです。

「予備的な二次元インビトロ実験に基づいた、仙腸関節の移動度を測定するための三次元立体写真法。男性15名および女性9名の被験者24名の骨内マーカーで行った。

回転と平行移動の平均値は低く、男性では1.8度/0.7mm、女性では1.9度/0.9mmであった。性別または年齢に関して統計学的有意差は示されなかった。」

The mobility of the sacroiliac joint in healthy subjects. Kissling RO, et al. Bull Hosp Jt Dis. 1996.

この論文でも同じように、ごくわずかだけ動きました。しかし、仙腸関節障害の症状と関節の動きには関連性がありませんでした。

「仙腸関節障害を有する25人の患者(21人の女性および4人の男性)を、生理的ポジションならびに極端な生理的ポジションでのレントゲン立体写真測定法で研究した。

回転は小さく、平均2.5度(0.8度〜3.9度)であった。平行移動は平均0.7mm(0.1-1.6mm)であった。

症状のある関節と症状の無い関節の間に差はなかった。」

Movements of the sacroiliac joints. A roentgen stereophotogrammetric analysis. Sturesson B, et al. Spine (Phila Pa 1976). 1989.

この論文では、仙腸関節に対するテストは、答えに対する差があり、適切な治療法を行えない可能性があるとのことです。

「仙腸関節領域の機能不全の人々を特定するための文献で提唱されている、骨盤の対称性または仙腸関節の動きによる4つのテストに基づいて行われた評価の被験者間の信頼性を検討した。

対象: 腰痛および片側の臀部痛を訴えた65人の患者 4つのテストで得られた測定値の信頼性は臨床的には低すぎると思われる。

このテストで測定誤差が認められたため、著者らは、試験結果に基づいて適切な治療法を選択しないか、または介入を間違った側に適用する可能性が高いと考えている。」

Evaluation of the presence of sacroiliac joint region dysfunction using a combination of tests: a multicenter intertester reliability study. Riddle DL, et al. Phys Ther. 2002.

11の研究から答えを導き出した論文です。仙腸関節に対するテストのエビデンスは無ない。

「文献では、仙腸関節において痛みを引き起こしたり関節可動性を検出するように設計された多くのテストが記載されている。

…これらのテストの信頼性を調査した11の研究をレビューした。 仙腸関節モビリティテストを受け入れて、日々の臨床診療に組み込むための根拠となるエビデンスはない。

この方法論的レビューの結論は、臨床現場での仙腸関節の可動性および疼痛誘発テストを支持するエビデンスはない。」

Clinical tests of the sacroiliac joint. van der Wurff P, et al. Man Ther. 2000.

仙腸関節に対する触診も信頼性が低く限界があるという論文です。

「現在入手可能な文献に基づいて、仙腸関節での動きは、臨床的に検出可能であると思われるわずかな回転および平行移動に限定されている。

仙腸関節病理を診断するために触診を利用する現在の臨床方法は、信頼性が低く、文献において無効であることが判明しており、臨床的有用性に限界がある可能性がある。」

Three-Dimensional Movements of the Sacroiliac Joint: A Systematic Review of the Literature and Assessment of Clinical Utility Adam Goode, Eric J Hegedus, Philip Sizer, Jr, Jean-Michel Brismee, Alison Linberg, and Chad E Cook

まとめ

これらのことから、仙腸関節は僅かには動くが、症状との関連性はなく、それを検査するテストや触診は当てにならずエビデンスもないということが分かります。

皮神経から考えると、仙腸関節痛の中には、上殿皮神経や中殿皮神経の絞扼によるものがあります。 多くの論文から分かることは、関節の状況は必ずしも疼痛には繋がらないということ。

疼痛は脳を含めた神経系のアウトプットです。その脳に直接繋がる末梢神経や皮神経から考えるというのは、とてもシンプルで分かりやすい理論ではないでしょうか。